短腓骨筋炎に対する鍼灸治療

2024.03.19

短腓骨筋炎に対する鍼治療
目次

こんにちは、大阪府豊中市ほまれ鍼灸接骨院の富本です。

今回は短腓骨筋炎に対する鍼灸治療について書きます。

短腓骨筋炎はランナーに頻発する足首外側の痛みです。

趣味でマラソンに取り組んでいるランナーの足首外側の痛みに対して鍼治療を行ったところ、5回の治療で痛みが取れて終了となったので、その様子についてまとめてみました。

鍼の疑問

鍼治療ってどんな痛みに効くの?

鍼は何回くらい通えばいいの?

何回くらい治療に通えばいいの?

こういった質問をよくいただくので、一つの参考として考えていただければ幸いです。

短腓骨筋炎とは?

短腓骨筋炎はランナーに頻発する足首外側の痛みです。

下の画像青色の部分が短腓骨筋です。

短腓骨筋

短腓骨筋は足首を外側に返す役割を持つ筋肉なので、捻挫を複数回経験していて足首外側の靭帯に問題がある人などに発症しやすい傾向があります。

腓骨筋を押さえた時の痛みや、腓骨筋に力を入れると普段の痛みが再現されることが特徴です。

患者基本情報

  • 30代男性
  • デスクワークの会社員
  • マラソンが趣味で定期的に大会参加

熱心に取り組まれているマラソンランナーです。

学生時代はラグビーなどのスポーツをしていたようですが、これまでに怪我をした経験は一切ないとのこと。

数日前にランニングを行っていた際、左足首の外側に違和感が生じ、走れないほどではなかったので、そのまま走ったが、翌日から歩くのにも違和感が出現したことをきっかけに来院。

足を捻ってしまった覚えなどもなく、過去を振り返ってみても捻挫などの経験はないようです。

圧痛は足首の外側やや前方に軽くみられる程度。

短腓骨筋炎の場合は下の画像で赤丸で囲まれている部分の周辺に痛みが出る場合が多いです。

短腓骨筋炎で痛みが出るポイント

各種検査を行った結果、短腓骨筋に力を入れた際に、普段の痛みや違和感が再現されることから、短腓骨筋由来の足関節痛と判断し鍼治療を行いました。

初回

足首の後ろ側から前方にかけて、腓骨を擦るように短腓骨筋に鍼を行っています。

短腓骨筋炎に対する鍼治療

また、短腓骨筋だけでなくハムストリングやふくらはぎなど、ランニングによって足の様々な部分に痛みや疲労が出現していたので、それらに対しても同時に鍼を行いました。

全ての鍼で重だるい響きが出現したことを確認し15分ほどそのまま置鍼します。

一日くらい鍼をした部分に筋肉痛のような感覚が続くことと、次回の来院までランニングを控えるように指導して初回は終了。

3日から1週間のペースで通院してもらうよう伝えて初回の治療は終了。

2回目

11日後に来院。

理想の通院ペースは伝えていたが、忙しくてなかなか来れなかったとのこと。

初回の治療前は、歩く際に体重を乗せるだけで軽い痛みと違和感があった状態でしたが、鍼を行った翌日くらいから症状が軽減したようです。

軽減したので長距離(30キロほど)を走ってみたが痛みなく走り切れたとのこと。

ですが、さすがに長距離を走った後からは、また足首外側に違和感が出現しているようで、同じ部分を押さえたら少し痛みを訴えます。

しかし、短腓骨筋に力を入れる動作を行ってもらった際の痛みは出現しておらず、歩く際の違和感なども強くないことから、治療経過としては良好と判断し、前回と同じ部位に鍼を行いました。

短腓骨筋を中心にハムストリングやふくらはぎの筋肉に鍼を実施。

2回目の短腓骨筋炎に対する鍼治療の実際の様子

ふくらはぎの筋肉に張りが目立っていたので、そちらは初回に比べると少し刺激を増やしています。

響きの有無を確認して、患部に重だるい感覚が出現したところで20分ほど置鍼。

次回来院時まではランニングを控えるように指導してこの日は終了。

3回目

3日後に来院。

歩行時の違和感は無くなっており、短腓骨筋に力を入れた際の痛みも無し。

足首外側を押さえた時の痛みだけやや残っています。

痛みの程度は初回に比べると1〜2割程度に減っているようです。

同じ部位に鍼治療を実施。

3回目の短腓骨筋炎に対する鍼治療の様子

短腓骨筋に鍼を響かせて、その他の張っている部位にも鍼を行い20分程置鍼。

痛みの程度が大幅に減っていることから、軽いランニングを許可し3日後に来院するように伝え3回目の治療は終了。

4回目

4日後に来院。

前回の鍼治療の翌日に10キロほどをゆっくり目のペースで走ってみたが痛みの出現はなく良好とのこと。

歩行時の違和感もなく、短腓骨筋に力を入れた際の痛みもなく、足首外側を押した際の痛みもなし。

これまでと同じ部位に鍼治療を実施。

(同じ場所への鍼治療のため写真はなし。)

同じく短腓骨筋に鍼を響かせて20分置鍼。

普通に走ってみることを許可し、走った後に来院するようお願いしてこの日は終了。

5回目

4日後に来院。

15キロ程度を前回よりも早いペースで走ってみたが、痛みも違和感もなく問題なく走れたとのこと。

歩行時の違和感もなく、短腓骨筋に力を入れた際の痛みもなく、足首を押した際の痛みもなし。

経過良好なので、同じ部分に鍼を実施。

短腓骨筋に鍼を響かせて20分ほど置鍼して終了。

まとめ

マラソンランナーの足首外側の痛みに対する治療の経過でしたが、今回の患者様の場合は5回目の来院で、当初あった歩く時の痛みと違和感が消失し問題なく走れるようになったことから一旦終了となりました。

5回という通院回数が果たして多いのか少ないのかは、人それぞれ捉え方が異なるかとは思いますが、大した変化のない治療に何度も何度も通っている人が世の中にごまんといる事を考えてみると、この数字は決して多すぎる通院回数ではないと思います。

今回の患者様の場合は、痛みを感じてからすぐに治療を始められたことから、比較的短期間で問題なく走ることができるようになりました。

どこかに痛みが生じた際、多くの人が、放っておいたら治ると考えて少し様子を見ます。

確かに数日間様子を見ているうちに軽減する痛みもありますが、症状によっては、早めに対処しないと完治までに時間がかかったり、痛い場所を庇いながら生活することによって、他の部位にまで痛みが出たりといったことも考えられますので、痛みや違和感がある場合は早めに治療を受けられる事をお勧めします。

早期から治療を始めることが早期回復への一番の近道です。

大阪府豊中市周辺でスポーツによる足の痛みでお悩みの方は是非ご相談下さい。

ほまれ鍼灸接骨院院長 富本 翔太

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