足関節捻挫の後遺症に対する鍼治療

2024.04.18

足関節捻挫の後遺症に対する鍼治療
目次

こんにちは、大阪府豊中市ほまれ鍼灸接骨院の富本です。

今回は足関節捻挫の後遺症に対する鍼治療について書きます。

一般的な足首の捻挫に対する鍼治療ではなく、あくまでも『足関節捻挫の後遺症』についてです。

足首の捻挫。

生きていれば誰しもが一度は経験する怪我の一つです。

スポーツをしている人に頻発する怪我の一つですが、それ以外にもハイヒールやパンプスなど足に負担のかかりやすい靴を履いている女性にも頻発します。

ヒールを履いて捻挫する人も非常に多い

足関節の捻挫は最も軽視されがちな怪我の一つです。

湿布で勝手に治る

湿布を貼って数日安静にしていれば勝手に治るのでは?

試合休めない

捻挫なんかで練習や大事な試合を休めない。。

このような感じで、捻挫を軽視して適切な治療を行わなかった結果、捻挫の後からずっと取れない痛みや違和感に悩まされている人は少なくありません。

痛みや違和感があるだけならまだしも、足首がグラグラと緩い感じがしたり、挙句の果てには何度も何度も捻挫を繰り返している人も少なくありません。

当院は筋肉や腱の痛み、いわゆる運動器疾患に特化して鍼治療を行っていることから、腰痛や肩こりを始め、様々な症状でお悩みの方が多く来院されますが、足関節捻挫の後遺症は来院される理由の中でも意外と多い症状の一つです。

一般的に、足首を捻挫したり、捻挫の後から痛みや違和感が続いたとして、最初に『そうだ鍼灸院に行こう!』と頭に浮かぶ人はあまり多くないでしょう。

皆さん、地元の整骨院や整形外科に通い、そこでダメなら大きめのスポーツ整形に行き、そこでもダメだった場合、最終的に『鍼治療でも試してみるか。。。』といった感じで来院されます。

実際に当院に来院される患者様もほとんどがそのような感じです。

中には、他の鍼灸院に行ってから来院される人も少なくありません。

鍼で足首の捻挫の後遺症が治るのか?

専門家が集まっているスポーツ整形で治せなかった疾患が鍼治療で本当に治るの?

このような疑問を抱く人がほとんどかと思いますが、実際のところ、当院に来院されているバレリーナ、ランナー、トレイルランナーの方々の足関節捻挫の後遺症に対する治療は効果が出ています。

足関節の捻挫に対する鍼治療と、足関節捻挫の後遺症に対する鍼治療とでは、鍼をする場所や目的も大きく異なります。

複数の足関節捻挫の後遺症に対する鍼治療を行うにつれて、これらの症状に悩まされている人に共通する点などが見えてきたので、それらについてまとめたいと思います。

足関節捻挫の後遺症でお悩みの方は是非最後までお読みください。

足関節捻挫の後遺症でよくある症状

足関節捻挫を複数回繰り返すと、足首を安定させる役割の靭帯が弱くなってしまい、足首が不安定な状態となります。

足首は体の中で唯一地面と接する部位であることから、足関節が不安定になると、足首に痛みや違和感などが出やすくなるだけでなく、膝や股関節、腰などにも痛みが出やすくなってしまいます。

一般的には3回以上捻挫を繰り返している場合を慢性足関節不安定症と定義しています。

急性の足関節捻挫では、足首の外側がズキズキと痛んだり、足に体重を乗せることができないといった典型的な症状が見られますが、慢性の足関節捻挫の後遺症では以下のような症状がよく見られます。

  • 足首がぐらぐらする
  • 足首の外側を押さえると痛い
  • 前側に踏み込むと足首が詰まる感じがする
  • 足首の可動域が狭い
  • 立っている際の足の形に左右差がある
  • 腓骨筋に力を入れると痛い

ざっと挙げただけでも、これだけ多くの症状が見られますが、特に頻繁に見られるのが、足首前方の詰まりです。

ランジのような動作を行った際に、足首の前方に詰まったような感覚を訴える人が多くいます。

足首の前側の詰まり

足関節捻挫の後遺症に対して鍼をするポイント

足関節捻挫の後遺症に対して鍼をするポイントは以下の3つです。

  • 短腓骨筋
  • 短腓骨筋と長拇趾屈筋の間
  • 前脛骨筋と長趾伸筋の間

後遺症で出現している症状の内容にもよりますが、多くの場合、上記の3箇所は必ず狙います。

短腓骨筋

短腓骨筋

足首の外側の安定性を司っている筋肉です。

足首外側の痛みと非常に密接に関わっている筋肉で、捻挫を繰り返している場合、痛めてしまった靭帯の代わりにこの筋肉が足首の安定性を高める役割を担うことから、過剰に使用することとなり痛みが出現します。

特にランナーやトレイルランニングなど、長時間走り続けていると足首外側に痛みと違和感が出現するようなタイプの痛みに効果的です。

以下の写真は当院で行なっている短腓骨筋に対する鍼治療の様子です。

腓骨の後方から、筋肉全体に刺激が行くように鍼を行います。

短腓骨筋に対する鍼治療の様子

足関節捻挫の痛みかと思いきや、短腓骨筋炎による痛みだったというパターンは非常に多いです。

短腓骨筋炎は当院で行なっている鍼治療であれば、数回の治療で良くなります。

詳しくは、短腓骨筋炎に対する鍼治療をご参照ください。

短腓骨筋と長母趾屈筋の間

先述した短腓骨筋と長母趾屈筋の間にも鍼を行います。

長母趾屈筋は短腓骨筋と隣り合わせで存在しており、この二つの筋肉の間でスムーズな動きが出ていないと足関節の動きに制限が出現します。

下の画像で赤丸に囲まれている部分にピンポイントで鍼をします。

短腓骨筋と長母趾屈筋は繋がっている

長母趾屈筋は足首の真後ろを走る筋肉です。

長母趾屈筋

足関節は背屈という動作を行う際に、距骨が後方に滑る必要がありますが、距骨の後方に存在する長母趾屈筋が硬いと足関節の背屈運動の強い制限となります。

長母趾屈筋は短腓骨筋と隣り合わせで存在しており、この二つの筋肉の間でスムーズな動きが出ていないと足関節の動きに制限が出現します。

この部位への鍼治療は、足関節を背屈した際に足首の前方に詰まり感があるような場合に非常に有効です。

長母趾屈筋と短腓骨筋に対する鍼治療

下腿の前面下部

足関節捻挫の後遺症の患者さんに共通するポイントの三つ目が、下腿前面下部の硬さです。

その中でも特に硬くなっている筋肉が第3腓骨筋です。

第3腓骨筋

非常にマイナーで大きな筋肉ではありませんが、捻挫を複数回繰り返している方の多くはこの部分に強い緊張が見られます。

基本的には、先に挙げた二つのポイントに鍼をすることによって、多くの場合で痛みや可動域制限に改善が見られますが、数回行って変化がない場合はこちらに鍼を行います。

下腿前面下部に対する鍼治療

鍼治療+各種のトレーニングが必要

以上の3箇所が足関節捻挫の後遺症で来院された患者様に鍼を行う代表的な部位となります。

痛めてからの期間や後遺症の内容によって、鍼を行う方法や場所はそれぞれ異なりますが、上記の3ヶ所はほぼ全ての方に対して行います。

これらの部位に鍼を数回行うことによって、痛みや可動域制限に改善が見られますが、足関節捻挫の後遺症を完全に解消するためには、硬くなっている筋肉に対して適切に鍼を行うことに加えて、弱くなっている部分を強化してあげる必要があります。

『弱くなっている部分を強くする』とは、簡単に言うと筋トレです。

足関節捻挫を複数回繰り返している方のほとんどは、足首や足の指を動かす筋肉を上手く使えていないので、適宜、トレーニングやセルフケアの指導も行い、スポーツ活動や日常生活への復帰をお手伝いさせていただきます。

まとめ

この記事では足関節捻挫の後遺症に対する鍼治療についてまとめました。

先述したように、足関節の捻挫はポピュラーである分、最も軽視されがちな症状の一つです。

適切な治療を行わなければ、足首に痛みや違和感などの問題が出るだけでなく、膝関節や股関節など様々な部位に負担がかかります。

また、捻挫によって一度損傷した靭帯は100%元の状態に戻ることはありません。

足関節捻挫の後遺症による痛みや違和感は放置していて良くなる症状ではありませんので、長い期間悩まされている人は早めに治療を行うことが大切です。

当院では自律神経系の疾患に対する鍼治療も行なっておりますが、美容鍼などは行なっておらず、基本的に運動器疾患(筋肉や腱などの痛み)に特化した鍼治療を行なっています。

梅田から特急で11分の阪急宝塚線の豊中駅から徒歩3分の位置で診療しています。

足首を捻挫した後のなかなか取れない痛みなどでお悩みの方は是非一度ご相談ください。

その他、ランナーやバレリーナなど足首周辺のトラブルに関しては以下の記事をご参照ください。

短腓骨筋炎に対する鍼治療

足底腱膜炎に対する鍼灸治療

ほまれ鍼灸接骨院院長 富本 翔太

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