こんにちは、豊中市のほまれ鍼灸院の富本です。
この記事ではタイトルにあるように、不眠症に対する鍼灸治療について解説しています。
鍼灸院に来院される患者さんの理由の中で意外に多いのが不眠症です。
これまで鍼治療が不眠症に効くなんて誰も想像していなかったと思いますが、不眠症に対する鍼灸治療に関する最新の研究などは世界各地で多数行われており、多くの場合、不眠症に対して鍼治療は効果が期待できると考えられています。
実際、当院においても不眠症患者に対して毎日のように鍼治療を行なっておりますが、多くの場合、確実な効果を得ることができています。
この記事では不眠症に対して鍼治療が効く理由と、当院で行なっている不眠症に対する鍼治療の概要について説明したいと思います。
少し長くなりますが、不眠症をはじめとする睡眠障害や精神症状でお悩みの方は是非最後までお読みください。
目次
不眠症は国民的現代病
不眠症と聞くと自分には関係ないと思う人もいるかもしれませんが、世界的に見ても日本は不眠大国であり、入眠困難、途中覚醒、中途覚醒後再入眠困難など、不眠のタイプこそいくつかあれど、非常に多くの方が不眠症状に毎日悩まされています。
厚生労働省がHPにて発表している情報によると、成人の実に40%近くが何らかの不眠症に悩まされているとのデータもあります。
スマホやパソコンを長時間使用することによるデジタルデバイスの影響や、仕事や家庭の人間関係によるストレスなどに加え、昨今はショートスリーパーを良しとするようは風潮が出てきたりと、どこか人間にとっての三代欲求の一つである睡眠を軽視するような考え方も蔓延るようになっている影響なのか、十分な睡眠時間を確保できていない人がほとんどです。
眠いのにわざと寝ていないのであれば、まだ良いかもしれませんが、多くの不眠症の場合は、寝たいのに眠れない状態であることがほとんどです。
人間は睡眠時に心身ともに疲労を回復しますので、十分な睡眠をとることができていないということはつまり、常に心身が疲労を感じている状態であり、日常生活にも多大な影響を及ぼしてしまいます。
不眠症に対して鍼治療が効く理由
不眠症に対して鍼治療が効く理由は以下の二つです。
- 不眠に関する筋肉の緊張を解消できる
- からだをリラックスモードに切り替えることができる
不眠症に関する筋肉の緊張を解消
不眠症の原因の一つに筋肉の過度な緊張が存在します。
不眠症を発症する人の多くが、もともと慢性的な首肩こりを抱えており、不眠症発症と共に、これらの症状も悪化の一途を辿っている場合が多く、鍼灸治療によって、これらの緊張している筋肉を緩めることができれば症状の改善が期待できます。
からだをリラックスモードに
東洋医学には心身一如(しんしんいちにょ)という言葉があります。
心と体は一体であり、心で感じているストレスは身体の緊張となって現れ、身体の緊張によって心にストレスが溜まるという意味です。
慢性的な筋肉の緊張や、それに伴う痛みを抱えている場合は、
自律神経における交感神経が常に優位な状態が形成されています。
交感神経は日中活動時に活動が高まる必要のある神経であり、本来であれば夜間の就寝時などはリラックスの働きを持つ副交感神経が優位に働くべきですが、慢性的な痛みやこりに悩まされている方は常に交感神経が優位に働いている場合が多く、身体を休めることが難しくなります。
鍼灸治療は交感神経の働きを抑制し、副交感神経の働きを高め、自律神経の働きを本来のバランスに戻すことが可能であり、身体全体の緊張や不眠をはじめ、その他にも、手足の冷えや便秘といった交感神経が優位に働いている際に現れる症状の改善が期待できます。
当院で行なっている不眠症に対する鍼治療
東洋医学的には不眠に陥る原因や体質にはいくつかの分類がありますが、多くの場合、どのタイプにおいても使用するツボや治療点は似通っています。
鍼灸には異病同治(いびょうどうち)という言葉があり、漢字の通り、異なる病であっても同じ内容の治療を行うということが珍しくありません。
例えば腰痛を例に挙げると、腰痛にも非常に多くの種類があるのですが、基本的にどのタイプにおいても筋肉の緊張や異常などが現れる部位が似通っていることから、結果的に異なるタイプの腰痛であっても同じツボを狙うことが多い現実があります。
腰の関節の痛みである椎間関節性腰痛と、腰の筋肉や筋膜に問題が生じる筋筋膜性腰痛では、同じ腰痛という病態であっても分類としては異なるのですが、同じ内容の治療を行う場合が多く、結果的にも治療効果も良好な場合がほとんどです。
不眠症に対する鍼治療においても考え方は似通っていて、不眠症のタイプ別に少しずつ使用するツボや狙うべき筋肉に差はありますが、基本的には同じツボや筋肉を狙って治療を行います。
当院では不眠症に対する基本治療としては以下の治療点(ツボや筋肉)を狙う場合が多いです。
不眠症に対する鍼治療で狙うポイント一覧
- 百会
- 四神総
- 神門
- 内関
- 神庭
- 安眠
- 咬筋
- 側頭筋
- 僧帽筋
- 肩甲挙筋
- 斜角筋、胸鎖乳突筋
- 後頭下筋
- 足三里
- 太衝
- 三陰交
全てについて解説すると非常に長くなってしまいますので、代表的なポイントについて簡単に解説していきます。
百会
不眠症に対する最も代表的なツボが百会です。
頭頂部のど真ん中に存在します。
不眠症を始め、ストレスや自律神経失調症といった様々な不調に対して効果が期待できるツボです。
精神安定作用があることから、試合前のスポーツ選手やアスリートのコンディショニングなどにおいても頻繁に使用されるツボです。
患者さんからのリクエストが最も多いツボの一つでもあります。
神門
手の平側の手首の周辺に存在するツボです。
手の少陰心経と呼ばれるツボの流れに属しているツボで、不眠症やその他の精神疾患においても非常に重要視されているツボです。
手の平側の手首の付け根、小指側に存在します。
後頭下筋群
頭や目の動きに関係する筋肉で、非常に小さい筋肉にも関わらず、筋紡錘と呼ばれる受容器が密に存在していることが知られています。
受容器が密に存在しているということは、それだけ細かい動きに対して敏感に働く筋肉であり、スマホやパソコンを日常的に長時間使用する現代人において非常に疲労が溜まりやすい筋肉です。
事実、眼精疲労や筋緊張性頭痛などに関連するツボはこの筋肉上に存在しており、このツボを鍼で刺激することによって、治療後即座にそれらの症状が改善することも珍しくありません。
当院では不眠症の患者さんに対してはもちろんですが、それ以外の身体全体のコンディショニングの目的においても頻繁に使用するツボの一つです。
足三里
膝のお皿の下の脛の上方部分に存在するツボです。
下痢や便秘といった胃に関する症状に対して効果が期待できるツボですが、その他にも、このツボを刺激することによって、交感神経の緊張を抑制し副交感神経の働きを高めることでストレスの軽減効果が期待できます。
三陰交
内くるぶしから約5センチほど上方に存在するツボです。
健康情報の雑誌などでツボ特集が組まれると、必ずといっていいほど登場する有名なツボです。
足に存在する3つの経絡が交差する場所であることから三陰交と名付けられており、その由来の通り、冷え、浮腫、痺れなどの様々な症状に対して効果が期待できるツボです。
まとめ
以上が不眠症に対する鍼治療を行う際に当院が使用している代表的な治療点です。
不眠症に対しての鍼治療を行なっている実感としては、鍼治療は間違いなく不眠症に効果があると断言できると思っていますが、やはり鍼治療だけで全ての症状が改善するわけではなく、不眠症の根本的な改善には原因となっているストレスの解消や生活習慣の改善などが欠かせません。
ストレスの原因は家族関係や職場の人間関係など様々であり、自分自身では変えることが難しい場合がほとんどです。
生活習慣であればストレスよりも改善が簡単なように思えますが、長年不眠症で悩んでいる場合は、不眠症があるがゆえに悪い生活習慣に陥っている場合も少なくありませんので、まずは外からの変化のきっかけとして鍼治療を試してみるのも一つの手かと思います。
今回の記事では文字数の関係などで割愛した部分も多数あります。
ツボは正確にとってこそ初めて本当の効果を発揮します。
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