肩こりに対する鍼灸治療

2024.03.16

肩こりに対する鍼灸治療
目次

こんにちは、大阪府豊中市ほまれ鍼灸接骨院の富本です。

今回は肩こりに対する鍼灸治療について書きます。

鍼灸院に来院される症状の中で最も多いのは腰痛ですが、その次に多いのが肩こりです。

肩こりは鍼灸院に来られる患者様の中でも非常に多い訴えです。

デスクワーク社会となった今、現代病と言っても過言ではないほど多くの人が悩まされている肩こりですが、肩こりの改善には鍼灸治療が非常に有効です。

この記事では、当院で行なっている実際の肩こりに対する鍼灸治療の様子と、肩こりに対してなぜ鍼灸治療が他の治療に比べて有効なのか?について解説しています。

肩こりやそれに付随する症状でお悩みの方は是非最後までお読み下さい。

肩こりとは?

実は肩こりに明確な定義はありません。

ウィキペディアで肩こりと検索すると以下のように表示されています。

項頸部から僧帽筋エリアの諸筋に生じる主観的に詰まったような、こわばった感じや不快感・こり感・重苦しさや痛みにいたる症候の総称である。頭痛、吐き気を伴うことがある[1]。 日本では「肩こり」という名称により「肩」を指す表現が用いられているが、これは日本独特のもので同症状を諸外国では首や背中の疾患として示していることが多数である。

専門用語や漢字が多く理解しにくい文章ですが、要するに、肩こりは肩こりという名称がついているものの、症状が出る場所は肩だけでなく首や背中など様々な部位に出る場合もあるし、実際の症状についても、こりだけでなく重だるさや頭痛など、人によって様々だと記載されています。

首周りが凝っている人も肩が凝っていると言いますし、背中が凝っている人も肩が凝っているといったり、一口に『肩こり』といっても、症状の程度から場所まで人それぞれで微妙に違うことを認識する必要があります。

このように、実は肩こりというのは実に曖昧な名前であって、それだけでは、実際にどこが悪いのかわからないといった問題が存在しています。

肩こりに鍼治療が他の治療よりも有効な理由

整体やマッサージや電気治療など、肩こりに対する治療は世の中に無数に存在しています。

一般的には肩こりを感じた場合、まず最初にマッサージや整体に行く人がほとんどかと思います。

肩こりを感じ出したばかりの軽度の場合は、表面の筋肉をほぐしたりストレッチする手技療法でも改善が見られるかもしれませんが、肩こりの程度が重度でかつ慢性的な場合は、表層だけでなく、深層の筋肉にまで強い緊張やコリが生じており、表面の筋肉を手技や電気でほぐすような治療では改善が見られない場合も少なくありません。

一般的には、肩の表面に存在する僧帽筋や肩甲挙筋といった筋肉が、いわゆる『肩こり筋』として知られており、肩こりのツボとして有名な肩井とも場所が一致しています。

肩こりのツボとして非常に有名な肩井です。

首の骨と鎖骨の外端を結んだ線の真ん中にあるツボが肩井です。

肩こりの際にこの辺りを揉んで欲しくなるという人も多いのではないでしょうか?

慢性的な肩こりであっても、これらの筋肉に緊張が表れていること自体は間違いありませんが、慢性でも期間が長くなればなるほど緊張やコリが深部にまで及びます。

特に慢性的な肩こりで強い緊張が見られやすいのが、板状筋や半棘筋といった背骨周りの深層に存在する筋肉です。

下の画像の青色の部分が板状筋です。

板状筋

これらの筋肉は表面の僧帽筋や肩甲挙筋といった筋肉のさらに奥に存在していることから、マッサージなどの表面から行う施術だけでは完全には刺激が届きません。

鍼治療の一番のメリットは、深部に存在している筋肉まで直接刺激を届けることが可能な点なので、こういった部位に緊張やコリが見受けられる場合はその効果が最も発揮されます。

板状筋は肩関節を動かす筋肉ではなく、厳密には首を動かす筋肉です。

スマホやパソコンを長時間見つめるような仕事では、無意識のうちに頭が前方に移動していることがほとんどであり、そのような姿勢を取り続けていると、表面に存在する筋肉だけでなく深層に存在する筋肉にまで緊張が生じます。

通常、表面に存在する筋肉よりも深層に存在する筋肉の方が痛みの局在が不明瞭とされています。

『痛みの局在が不明瞭』とは、つまり、自分でも痛みや違和感を感じる場所がイマイチはっきりせずにわかりずらいということです。

肩こりに悩まされている人は、辛い場所がピンポイントでわかることもあれば、いまいちどこがしんどいのかわからないといった人も少なくありません。

このような訴えをする方の症状の原因は、高確率で深部に存在している組織が痛みを引き起こしている場合が多く鍼治療が非常に有効です。

肩こりに対して当院で行なっている鍼治療

当院では肩こりに対しては、肩だけでなく背中から後頭部に存在する筋肉にまで鍼治療を行います。

以下の写真は当院で実際に行なっている肩こりに対する鍼治療の様子です。

肩こりに対する鍼治療の様子

背骨周囲の凝り固まっている筋肉に加えて、左側の僧帽筋などにも鍼をしています。

背骨周辺の筋肉は重力に抗う作用があることから、普段から緊張している場合が多く、それらの筋肉に鍼の刺激が届いた際はズーンと重だるい感覚が表れます。

マッサージや整体で刺激が届かない深部にまで鍼を届かせると、普段の肩こりの重だるい感覚が再現されたり、肩こりと同時に出現している頭痛や眼精疲労が再現されたりと様々な反応が現れますが、それらの反応が見られると鍼治療が効いている証です。

当院では、ズシンと重だるい響きの感覚を重視しており、鍼をして症状の再現が得られたら、そこから15分から20分ほど時間を置いて、鍼に微弱電流を流す鍼通電療法を行います。

微弱電流機器を用いた鍼通電の様子

鍼に電気を流す鍼通電療法は、通常の皮膚表面にパッドを当てる電気治療とは異なり、深部で固まっている目的の筋肉に直接電気刺激を届かせることができるので非常に有効です。

治療直後は重だるいような鍼独特の感覚が残りますが、2〜3日で治療効果が高まり、肩こりの程度が軽減されます。

軽度の肩こりであれば、1回〜数回の治療で良くなりますが、慢性の肩こりであっても、5〜10回ほど継続して鍼治療を行うことで普段の肩こりの程度を非常に楽な状態にコントロールすることが可能です。

肩こりやそれに付随する症状でお悩みの場合は是非一度ご相談下さい。

ほまれ鍼灸接骨院院長 富本 翔太

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