こんにちは、大阪府豊中市のほまれ鍼灸接骨院の富本です。
今回は腰痛に対する鍼灸治療について書きます。
鍼灸院に来られる患者さんの訴える症状で最も多いのが腰痛です。
一口に腰痛といっても原因から種類まで非常に様々ありますが、この記事では代表的な腰痛それぞれに対する鍼治療について、守備範囲広く専門的に詳しく書きますので、各種腰痛でお困りの方は是非最後までお読みください。
それぞれの項目で、より詳しい解説記事へのリンクを貼っていますので、自分の腰痛に当てはまっているなと感じたらそちらをご参照頂ければと思います。
目次
ぎっくり腰に対する鍼治療
鍼治療の効果が最も発揮されるのがぎっくり腰の治療です。
重たい物を持つなどの急激な負荷によって、腰に激痛が走り動けなくなる状態のことを急性腰痛症、通称『ぎっくり腰』と呼びます。
厳密には、ぎっくり腰にも様々な種類があるのですが、前屈みになって腰を伸ばせなくなっているタイプは、腰の深部に存在している大腰筋を痛めている場合が非常に多いです。
ぎっくり腰の特徴は以下の通りです。
- 急に激痛が走って動けない
- 腰を伸ばす事ができない
- 椅子から立ち上がる際に痛い
- くしゃみをすると腰に響く
- 太ももの前や外側に鈍痛がある
ぎっくり腰に対しては長い鍼を用いての鍼治療を行います。
詳しくはぎっくり腰に対する鍼治療をご参照ください。
筋筋膜性腰痛に対する鍼治療
腰痛の中でも特に多いのがこのタイプです。
痛めてしまう筋肉によって痛みが出る動作も異なりますが、最も多いのが脊柱起立筋と呼ばれる背骨を支える役割を持つ筋肉を痛めるパターンであり、前屈みで重たい物を持ち上げようとした際などに発症します。
(青色の部分が脊柱起立筋です。)
筋筋膜性腰痛の特徴は以下の通りです。
- 前屈みをすると痛い
- 朝イチの洗顔の際に痛い
- 痛みの場所がピンポイントではない
腰の外側にある腰方形筋を痛めるパターンも非常に多く見られます。
(青色の部分が腰方形筋です。)
筋筋膜性腰痛は年齢や性別に関わらず、誰にでも起こり得る腰痛の一種です。
痛みを作ってしまった動作や現在出る痛みの動作から、損傷している筋肉を判断して、その筋肉自体に直接鍼を行います。
以下は腰方形筋を痛めてしまった患者さんに対する実際の鍼治療の様子です。
赤丸の部分が腰方形筋に鍼をしている様子です。
また、筋膜は全身を通じて繋がっていることから、前屈みで腰に痛みが出るタイプは、腰だけでなくお尻や太もも、ふくらはぎに鍼をする場合もあります。
椎間関節性の腰痛に対する鍼治療
腰に存在する椎間関節から痛みが出ているパターンも少なくありません。
椎間関節性の腰痛の特徴は以下の通りです。
- 腰を反らしたら痛い
- 痛みは左右どちらか片方だけ
- 痛みの場所がピンポイント
- 長時間の立ちっぱなしで痛くなる
椎間関節性の腰痛の場合は、椎間関節そのものに鍼をするのではなく、椎間関節に付着する腰の多裂筋に鍼を行います。
以下の画像の赤丸の部分は多裂筋と脊柱起立筋に鍼治療を行っている実際の様子です。
椎間関節と多裂筋は同じ脊髄神経後枝に支配されていることから、例え関節の痛みであっても多裂筋にも影響が出ている場合なども多く、多裂筋の緊張を緩めることによって椎間関節の痛みの軽減がみられます。
また多裂筋と連絡しているお尻の大臀筋にも鍼をすることで、早期の回復が見込めます。
椎間板ヘルニアに対する鍼治療
ヘルニアとはラテン語で飛び出るという意味です。
背骨の間にあるクッション(椎間板)が何らかの原因によって圧力が高まったことにより潰れてしまい、神経を刺激した結果、足に痺れや痛みが出ます。
椎間板ヘルニアや、ヘルニアになりやすい方の特徴は以下の通りです。
- 腰自体は痛くなく脚に痺れがある
- 一日中座りっぱなしで仕事をしている
- 前屈みで重たい物を運ぶ作業をよく行う
鍼治療でヘルニア自体が治るわけではありませんが、病院でヘルニアと診断されて以降、ずっと慢性的に痛みを抱えている腰痛などの場合は鍼治療の適応となってきます。
詳しくはヘルニアに対する鍼灸治療をご参照ください。
脊柱管狭窄症に対する鍼治療
背骨の神経の通り道である脊柱管が、加齢などの影響によって狭くなることで神経が圧迫を受け、腰やお尻、脚にまで痛みや痺れが出現する症状です。
長時間連続で歩く事ができなくなるのが最大の特徴で高齢者によく見られます。
脊柱管狭窄症の特徴は以下の通りです。
- 腰自体は痛くなくお尻や足が痛い(痺れる)
- 歩いていると痺れが出て、座って休憩しないと歩けなくなる
- 腰を反らした際に痛みや痺れが強くなる
片足のみが痺れるタイプから、両足共に痺れるタイプまで、原因によって症状の現れ方は様々です。
こちらも鍼治療によって、狭くなった骨の通り道自体を広げることは不可能ですが、症状によっては効果が見られるタイプも少なくありません。
詳しくは脊柱管狭窄症に対する鍼灸治療をご参照下さい。
仙腸関節性腰痛に対する鍼治療
比較的珍しいタイプの腰痛であり、腰痛全体の10%弱を占めると言われています。
腰痛全体の10%弱と聞くと、非常に少ないように思えますが、腰痛に悩まされている人の数は、日本だけでも3000万人程いると考えられているので、そう考えると決して軽視する事ができない腰痛です。
背骨の最下端に存在する仙骨と骨盤の腸骨によって形成される仙腸関節に痛みが出現します。
(画像で指が差している場所が仙腸関節です。)
仙腸関節性腰痛の特徴は以下の通りです。
- 腰の下の方が痛い
- お尻が痛い
- 鼠蹊部が痛い
- 太ももの外側などにも痛みが出現する
人間の体のちょうど中心の場所に存在する関節であり、体重を支える役割があることから、非常に負荷がかかりやすい場所です。
鍼治療においては、仙腸関節に付着する多裂筋や大臀筋といった筋肉を狙って鍼を行います。
坐骨神経痛に対する鍼治療
坐骨神経痛は、その名の通り、腰の痛みではなく坐骨、つまりお尻から下の部分の痛みですが、多くの人が腰痛の一種と考えているので腰の痛みとして扱います。
腰から分岐した人体で最も太い神経である坐骨神経が何らかの原因によって圧迫を受けることによって痛みが出現します。
坐骨神経痛の特徴は以下の通りです
- お尻が痛い
- お尻から足先にかけて痺れが出る
- 座っていると痛みや痺れが悪化する
坐骨神経痛も原因によってタイプや治療法が異なることから、別の記事で詳しくまとめています。
当院で行っている長鍼を用いた深鍼での治療が非常に有効ですので、詳しくは坐骨神経痛に対する鍼灸治療をご参照ください。
まとめ
この記事では代表的な腰痛に対する鍼治療について書きました。
それぞれのタイプによって症状や治療法も異なりますが、慢性化して随分期間が経つ場合などは、一つだけでなく複数のタイプの腰痛が同時に出現していることもあります。
筋筋膜性の腰痛で多裂筋を痛めた後に多裂筋が付着している椎間関節にも痛みが出てくる場合など。
また、タイプによっては行わない方が良い動作などもあるので、痛みが出ている場合はあまり我慢しすぎず専門家に相談することをお勧めします。
鍼灸治療は今回紹介した各種腰痛に対して効果が期待できる治療の一つです。
以下の写真は当院で行っている実際の鍼治療の一例です。
専門的な研修を受けた鍼灸師が長い鍼を用いて、腰痛の根本原因となっている大腰筋に対して直接鍼を行うことに加えて、微弱電流機器や赤外線治療器を用いて総合的に治療を行います。
当院で行っている大腰筋への鍼治療などは、どこの鍼灸院でも行っている手法ではなく、今回ご紹介した多くの腰痛に対して非常に有効な治療ですので、腰痛でお悩みの方は是非一度ご相談ください。