こんにちは、大阪府豊中市ほまれ鍼灸接骨院の富本です。
今回は股関節の痛みに対する鍼灸治療について書きます。
このようなことでお困りではありませんか?
歩いていると股関節が引っかかる感じがする。
整形外科で変形性股関節症と診断されてしまった。。
前屈みになったりする際に股関節が詰まる感じがする。。
股関節の痛みは、鍼灸院や整骨院に来院される患者様の中でも意外と多い訴えの一つです。
一口に股関節の痛みと言っても、
- 足の付け根が痛い
- お尻の辺りが痛い
- 歩いていると痛い
- 立ち上がる際に痛い
- 股関節を動かすとポキポキ音が鳴る
といったように、人それぞれ症状は様々です。
中には、すでに病院を受診した結果、変形性股関節症や臼蓋形成不全症と診断された方もいるかもしれません。
そのような場合であっても鍼灸治療の適応の場合があります。
この記事では、当院で行なっている股関節の痛みに対する鍼灸治療について詳しく解説していますので、是非最後までお読みください。
腰痛による股関節の痛みや坐骨神経痛による股関節の痛みについては、腰痛に対する鍼灸治療をご参照ください。
目次
股関節の痛みに鍼治療が効く理由
鍼灸院には股関節の痛みを抱えた患者様が多く来院されます。
基本的に、股関節に限らず、どこかが痛くなったときに最初に鍼灸院に来る人はほとんどいませんよね。
大体の場合は整体やマッサージに行って、それでも治らなかったら整骨院に行って、それでも良くならなければ整形外科に行って、それでも良くならなかったら、最後の最後に『鍼治療でも試してみるか』と考えて、最後の砦として鍼灸院に来院される方が多くいます。
一口に股関節の痛みと言っても、原因によってタイプが異なりますので、その全てに鍼治療が効果的と言えるわけではありませんが、多くの場合、他の治療と比べても効果がある場合が非常に多いです。
整体や整骨院で良くならない股関節の痛みが、なぜ鍼治療で良くなるのか?
他の治療法よりも鍼治療が股関節の痛みに良く効く理由は、鍼治療が他のどの治療法よりも深部の筋肉のコリに直接刺激を入れることができるからに他なりません。
股関節の構造的な問題や、軟骨のすり減りなどを除くと、股関節の痛みの多くの原因は、腰やお尻などの股関節の動きに関わる筋肉の緊張によって出ています。
特に痛みの原因となりやすいのが、大腰筋や腸骨筋、小殿筋といった深部に存在する筋肉ですが、マッサージや指圧で直接刺激を入れることができないこれらの筋肉に唯一直接刺激を入れることができるのが鍼治療です。
大腰筋
特に大腰筋は股関節の痛みの原因となっていることが非常に多い筋肉ですが、『痩せている女性で皮膚の表面から6センチ先に存在する』といった研究結果が報告されていることもあり、鍼治療以外では物理的に刺激を届かせることが困難極まりないと言えるでしょう。
腸骨筋
大腰筋とセットとなって腸腰筋を形成する腸骨筋は、仰向けの状態でなんとか触ることが可能な筋肉ですが、それでも手技などで刺激を入れることが可能な場所は、腸骨筋全体のごく一部であって、本当に腸骨筋の緊張を取ろうと思うと刺激が十分ではありません。
小臀筋
小殿筋も股関節の深部に存在する筋肉の一つです。
中臀筋という名前は聞いたことがある人も多いかと思いますが、小臀筋はあまりその名前と役割を知られていないマイナーな筋肉です。
中臀筋をベロっと捲ると見えてくるのが小臀筋です。
この筋肉も深部に存在している筋肉であり、股関節の痛みに非常に密接に関わっています。
小臀筋は大臀筋や中臀筋などの表面に存在する筋肉が股関節を動かす際に、関節を安定させるような働きを持つ筋肉です。
小臀筋がなんらかの理由で働きにくくなっている場合、股関節を動かす際に関節を安定させることができないまま動くことになるので、股関節の動きに異常が生じて痛みが発生する場合があります。
当院では股関節の治療では長い鍼を使用します
当院で行なっている鍼灸治療では、大腰筋や小殿筋といった深部の筋肉に対して鍼治療を行う際は、体型にもよりますが、最短で6センチ、最長で12センチ、平均すると9センチの長さの鍼を用いて治療を行います。
以下の写真で上側に写っている鍼は一般の鍼灸院でも用いられる5センチの鍼で、下側に写っているのが9センチの鍼です。
『長い鍼を使用する』と聞くと、それだけで怖く感じる方もいますが、当院では長い鍼を用いた深鍼に関する専門的な研修を受けた鍼灸師のみが鍼灸治療を行なっておりますので、安心して治療を受けていただけます。
それに加えて、どれだけ長い鍼を使おうが、お尻の筋肉に対する鍼治療では、鍼は骨にあたって必ず止まりますので、お尻の筋肉に対する鍼治療を行う上ではほとんどリスクがありません。
背中や首に長い鍼を用いて鍼治療を行うのは危険ですが、お尻の筋肉に対して長い鍼を使用するのは、不快な痛みや事故の発生もなく安全な方法です。
深部の筋肉に対して直接刺激を入れることができるのが鍼灸治療の一番の強みです。
多くの場合は、痛みを引き起こしている原因となっている筋肉に鍼をすると、普段感じている鈍痛や違和感が再現される感覚が現れます。
この感覚が出ていることが効果の有無に非常に重要です。
筋肉が何層も重なっている部分の最も奥に存在する深層筋に直接刺激を入れることができるのは、様々ある治療法の中で鍼治療だけの特権です。
深層筋への鍼治療は股関節の痛みに非常に効果が高い治療です。
当院で行なっている股関節の痛みに対する鍼治療
当院では、股関節の痛みを訴える患者様にはまずはレントゲンなどの画像検査を勧めています。
レントゲンやMRIなどの検査を行い、骨や軟骨などに問題がない場合は鍼治療の適応ですので、慢性か急性かなどによっても異なりますが、多くの場合が鍼治療で痛みの軽減や可動域の改善などが期待できます。
大腰筋が原因の場合
以下のような特徴がある場合大腰筋への鍼治療を行います。
- 股関節の前側が痛い
- 慢性的な腰痛がある
- ギックリ腰を繰り返している
- 腰や股関節だけでなく、脚にまで痛みや痺れがある
以下の写真は当院で実際に行なっている鍼治療の様子です。
股関節の前側が痛い場合や、股関節だけでなく腰にも痛みがある場合、股関節と同時に太ももの前側や外側などに痛みや痺れがある場合などは、大腰筋や腰の神経から股関節の問題が発生している可能性が高く、これらに対する治療を数回継続することによって効果が見られます。
腸骨筋が原因の場合
以下のような特徴が見られる場合は腸骨筋への鍼治療を行います。
- 股関節の前側に詰まる感覚がある
- 股関節を動かした際にポキポキ音がなる
- 股関節の前側を押すと痛い
- 大腰筋や中臀筋への鍼治療を行なっても変化がない
基本的には、大腰筋への鍼治療を数回行うことで、多くの場合、股関節の痛みや違和感の軽減が得られることが多いですが、大腰筋への鍼治療で効果が見られない場合は、腸骨筋に対して鍼治療を行います。
以下の写真が当院で実際に行なっている腸骨筋に対する鍼治療の様子です。
股関節の前側に痛みがあったり、股関節を動かす際にゴリゴリと音が鳴ったりする場合などに有効な鍼治療の方法です。
ズシンとした響きが出やすい刺激の強い鍼治療ですが、その分効果も期待できます。
ギックリ腰や慢性腰痛においても非常に重要な治療部位です。
お尻の筋肉が原因の場合
以下のような特徴が見られる場合、お尻の筋肉に対して鍼治療を行います。
- 股関節の内側や外側が痛い
- 歩いていると股関節が引っかかる感じがする
- 片足立ちをすると股関節に痛みが出る
主に、中臀筋や小臀筋、大腿筋膜張筋に対して鍼治療を行います。
足首の捻挫や姿勢不良などが原因の場合
股関節の痛みは複雑で、多くの場合、先述した3つの筋肉に鍼をすることで良くなりますが、中には改善が乏しい場合もあります。
その場合は、股関節の痛みが腰や股関節に存在する筋肉の緊張ではなく、足関節捻挫を何度も繰り返しているなどの、足の部分からのバランスが乱れていることによって、結果的に股関節に過度な負担がかかっている場合があります。
捻挫を何度も繰り返している方は、足のアーチが崩れてしまい、それにより股関節や膝関節に負担がかかっている場合が少なくありません。
過去に捻挫の経験が複数回ある方や、股関節周辺の深部の筋肉に対して鍼治療をしても変化が見られない場合は、ふくらはぎや足首周辺に対して鍼治療を行います。
詳しくは足関節捻挫の後遺症に対する鍼治療をご参照ください。
まとめ
以上が股関節の痛みに対して当院で行なっている鍼治療です。
股関節の痛みであっても原因が腰にある場合も多く、全体の半数くらいは大腰筋を中心とした腰とお尻への鍼治療を繰り返し受けていただくことによって良くなります。
大腰筋に対する鍼治療などで効果が見られないか、効果はあるものの、最後の痛みや硬さが取りきれない場合に腸骨筋への鍼治療を行います。
股関節の前側の痛みや詰まり、引っかかる感覚に対して非常に効果の高い鍼治療の方法です。
なかなか取れない股関節の痛みでお悩みの方は是非一度ご相談ください。
股関節の痛みだけではなく、そのほかにも慢性的な腰痛や、足に痺れなどが出ている場合は、他の腰痛に関する疾患の可能性もあり、その場合は治療法なども異なります。
詳しくは腰痛に対する鍼灸治療をご参照ください。