60代女性のぎっくり腰に対する鍼治療の様子

ぎっくり腰に対する鍼治療の実際
目次

院長の富本 翔太です

こんにちは、豊中市のほまれ鍼灸院の富本です。

先日来院されたぎっくり腰の患者さんに鍼治療を行なったところ、良好な成績を得ることができたので、腰痛の特徴や実際に行なった治療についてまとめました。

この記事を書いているのは11月の中旬です。

急激に寒くなってきたこの時期はぎっくり腰で来院される患者さんが非常に多くなります。

今回の記事は、長年腰が痛くて鍼治療を受けるかどうか悩んでいる方にとって参考になる点が多数あるかと思いますので、是非最後までお読みください。

患者データ

  • 60代女性
  • 週に数回長時間立ちっぱなしの仕事
  • 毎年ぎっくり腰を2回発症
  • ぎっくり腰は通算で20回以上経験している

人生において通算で20回以上ぎっくり腰を繰り返している筋金入りのギックラーです。

(ギックラーとはぎっくり腰を何度も繰り返している人のことを言います。)

鍼灸専門で診療していると、ぎっくり腰の患者さんはよく来院されますが、これほどまでのギックラーはそれほど多くありません。

腰痛タイプ分類

痛みは画像で赤丸に包まれている左腰の下部〜臀部(仙骨周囲)に出ています。

疼痛部位

腰部の固有背筋が過度に緊張する、最も多いタイプの典型的な筋膜性腰痛です。

鍼灸では『膀胱系』と呼ばれる背部(頭のてっぺん〜足裏まで)をつなぐ経絡に異常が生じた結果、発症する腰痛と言われています。

背中の筋肉は常日頃から重力に抗う為に力を発揮していることから日常生活における疲労が溜まりやすい部位ですので、今回の患者さんの場合も、仕事での長時間の立ち姿勢の負担によって背部の筋肉に過度の負担が溜まっていったであろうことが想像できます。

痛みが出る動作としては以下の通りです。

  • 体幹前屈(++)
  • 体幹伸展(+)
  • 体幹左側屈(+)
  • 体幹左回旋(+)
  • 体幹前屈+股関節屈曲(++)

体幹を前屈するのに加えて、靴下を履く動作(体幹前屈+股関節屈曲)で最も強い痛みが出現します。

立ったまま靴下を履く

痛みが出る動作と痛む部位から考えて、腰部の固有背筋である多裂筋を痛めているようです。

発症した当日に来院されたので急性の痛みですが、安静にしている際の痛みはないようです。

本人曰く、これまでのぎっくり腰では、ひどい時は地べたを這うようにしか動けなくなるようで、今回は自分で車に乗って来院できているので程度としてはそれほど強くないとのこと。

安静時痛がないことから考えても、本人の感覚もあながち間違いではなさそうです。

やはり何十回もぎっくり腰を繰り返していると感覚が研ぎ澄まされてくるのでしょうか。

初回の治療

鍼治療は過去に受けた経験があるとのことだったので、初回から響く鍼を行いました。

左側の腰部多裂筋を中心に、脊柱起立筋、中臀筋、大臀筋に鍼治療を実施。

初回の鍼治療の様子

左の多裂筋と中臀筋の鍼に15分間鍼通電療法を実施しています。

鍼は全て、ズシンとした響きが出るように調整しています。

15分間の通電終了と共に鍼を抜いて、直後効果の確認で身体を少し動かしてもらいます。

動作確認の結果、痛みは残存しているものの治療前に比べると半減している様子。

痛みの動作のビフォーアフター

鍼治療前鍼治療後
体幹前屈++
体幹伸展
体幹左側屈
体幹左回旋
靴下履き++

靴下を履く動作はまだ痛みが残っておりスムーズに行いにくい状態。

鍼治療では良くあることですが、治療直後よりも治療から数時間や数日経ってから効果が現れます。

治療直後の確認では、痛みが残る動作があるものの、全体として痛みの程度も軽減が見られることから、数日でより痛みが落ち着く旨を伝えて初回の治療は終了。

2回目の治療

初回の治療の4日後に来院。

疼痛は大幅に軽減したようで、日常生活は問題なくこなせるようになったとのことです。

痛みの出る動作は以下の通りです。

  • 体幹前屈(+)
  • 体幹伸展(−)
  • 体幹左側屈(−)
  • 体幹左回旋(−)
  • 体幹前屈+股関節屈曲(+)

痛みの程度は大幅に軽減しているようですが、靴下を履く動作のみ、まだ痛みが残っているようです。

少し手強いですね。

とはいえ、前回の治療で確かな効果が出現しているので、治療方針は変更せずに、引き続き腰部多裂筋と固有背筋を狙うのと同時に、深層に存在する大腰筋と腰方形筋にも鍼を実施しました。

前回に引き続き腰部多裂筋の鍼に低周波を実施して、合計で20分間置き鍼をして治療終了です。

2回目の鍼治療の様子

大腰筋への鍼治療は他の鍼よりもズシンと響きやすく刺激が強いので、治療直後は腰が重だるい感覚がありますが、2〜3日経過すると腰の深部の緊張が軽減し、ぎっくり腰の痛みに良く効きます。

大腰筋に対する鍼治療について深鍼治療の専門家が解説します。

長時間の座りっぱなしの後に、腰が伸びなくなるタイプのぎっくり腰は典型的な大腰筋が原因の腰痛です。

今回の場合は、身体を伸ばす動作よりも身体を曲げる動作に問題があることから、メインの治療ターゲットは多裂筋ですが、何度もぎっくり腰を繰り返している本患者は腰部周囲の多くの筋肉が緊張状態に陥っていますので、同時に刺激しておくことで、慢性的な腰の重だるさの解消も期待できます。

3回目の治療

数日後に来院。

この時点で最初に確認できた疼痛誘発動作は全て消失。

  • 体幹前屈(−)
  • 体幹伸展(−)
  • 体幹左側屈(−)
  • 体幹左回旋(−)
  • 体幹前屈+股関節屈曲(−)

靴下を履く動作でも疼痛が消失しています。

触診したところ、腰部レベルの脊柱起立筋に緊張が見られることから、引き続き、腰部の脊柱起立筋と多裂筋〜中臀筋に鍼治療を実施。

腰部の固有背筋にはピコリナを用いて微弱電流治療を実施して治療終了。

3回目の時点で疼痛が消失したので、ぎっくり腰の治療終了。

とはいえ、何十回もぎっくり腰を繰り返している状態でしたので、急性の痛みこそ消失したものの、腰の筋肉には張りが残っていることから、定期的に鍼をすることで合意して、その後は3〜4週間に一回程度の頻度で通院していただいてます。

ぎっくり腰で鍼治療を受けるならほまれ鍼灸院へ

何度も何度もぎっくり腰を繰り返していても当院の鍼治療であれば大丈夫です。

毎年毎年、同じ時期にぎっくり腰を繰り返している人は要注意です。

ぎっくり腰を繰り返しているにも関わらず治療せずに放置すると、その先には腰部椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、坐骨神経痛など様々な腰部疾患につながります。

手遅れになる前に鍼治療で腰痛とおさらばしましょう。

大阪でぎっくり腰の鍼治療を受けるなら、豊中市のほまれ鍼灸院へお越しください。

ほまれ鍼灸院

阪急豊中駅から徒歩3分で、土日も診療しています。

ズシンと響く深鍼治療と、最新の機器を用いた微弱電流治療でぎっくり腰の痛みを早期に改善します。

当院で行なっている深鍼治療と鍼通電療法については以下の記事をご参照ください。

鍼を深く刺す深鍼治療の効果と安全性について

鍼に電気を流す『鍼通電治療』で得られる効果とは?

ほまれ鍼灸接骨院院長 富本 翔太

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