鼠蹊部痛に対する鍼治療について

2025.11.25

鼠蹊部痛に対する鍼治療について
目次
ほまれ鍼灸院長 富本 翔太

こんにちは、豊中市のほまれ鍼灸院の富本です。

足の付け根が痛い人は世の中に意外と多くいます。

足の付け根が痛い

この部分の痛みの原因は筋肉、神経、関節など様々です。

若年者から中高年まで幅広く発症する鼠蹊部痛ですが、若年者の場合はスポーツが原因となる鼠蹊部痛が多く、中高年以降では腰椎や股関節の変形を基盤とした原因が多くなります。

この記事では鼠蹊部痛の種類と原因、それぞれの鼠蹊部痛に対する鍼治療の内容などについて詳しく解説していますので、上記画像のあたりに痛みを感じている方は是非最後までお読みください。

鼠蹊部痛の原因と特徴

鼠蹊部痛の痛みの原因は主に以下の4つです。

  • 鼠蹊部に存在している筋肉由来
  • 鼠蹊部を支配している神経由来
  • 腰の関節由来
  • 股関節の変形など構造的問題

鼠蹊部に存在している筋肉由来

鼠蹊部に存在している代表的な筋肉には、大腰筋、腸骨筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋、内転筋などがあります。

どれも鼠蹊部の痛みの原因となる筋肉ですが、特に大腰筋と腸骨筋は痛みの原因となりやすい代表的な筋肉です。

大腰筋

このタイプは若年者から青壮年、中高年まで老若男女に発症します。

若年者では主にスポーツによる股関節周囲筋の使いすぎ、もしくは使い方の問題。

サッカー、バレエ、ダンス、キックボクシングなど頻繁に股関節を曲げるスポーツの影響による使いすぎはこれらの筋肉の持続的な緊張を生み出します。

ダンスやバレエなどは鼠蹊部痛を起こしやすいスポーツの代表例です。

腸腰筋は腰骨から始まり大腿骨の小転子と呼ばれる部位に付着しますが、その走行の途中、腸恥隆起と呼ばれる部位で急角度で走行を変えるので、この部分で筋肉と骨の間で摩擦が起こり、滑液包に炎症が起こり痛みが出る場合が多いです。

ほまれ鍼灸院長 富本 翔太

滑液包は骨と筋肉や腱などが頻繁に摩擦する場所に存在しているクッションのようなものですが、使いすぎや使い方の問題(股関節周辺の筋肉が硬いことによって偏った使い方になっている)などによって、時に過剰な負荷のかかり方によって炎症が発生します。

滑液包には痛みのセンサーが多数存在しているので、この部位を痛めると鼠蹊部痛が長引く場合が多いです。

この部位を痛めている場合は安静にしているだけでもズキズキと痛むのが特徴です。

青壮年や中高年では、長時間かつ長期間の座りっぱなしの影響による慢性的な筋緊張や、中高年特有の脊椎の変形由来による腸腰筋への持続的な負荷によって、慢性的に腸腰筋に負担がかかることによって発症します。

高齢者に多く見られる以下の画像のような姿勢は骨盤が後ろに傾くことによって、相対的に股関節が伸展位になり腸腰筋の持続的な筋収縮が発生し筋肉が硬くなります。

高齢者でよく見る姿勢

同じ理由で、腸腰筋の近くを走っている大腿神経にも負荷がかかり、場合によっては大腿神経由来の鼠蹊部痛が見られる場合もあります。

腸腰筋は大腿骨の小転子についていて、鼠蹊靭帯のやや下のあたりで触診することが可能ですので、このあたりを押さえてみて痛みが再現されたり、腸腰筋に力を入れたりストレッチをした際に痛みが出るようであれば筋肉が原因の可能性が高くなります。

滑液包に炎症が及んでいれば、押さえるとズキっとかなり激しく痛みます。

慢性的かつ持続的な筋肉の緊張による場合は、押さえた際に鈍いような痛みの再現があります。

神経由来

鼠蹊部を支配している神経は主に上位腰椎から出る腸骨鼠蹊神経、腸骨下腹神経、陰部大腿神経、外側大腿皮神経、大腿神経です。

鼠蹊部の神経の解剖学
ほまれ鍼灸院長 富本 翔太

上の画像で黄色い線状の物が神経です。

骨盤や鼠蹊部は沢山の神経が複雑に絡み合って走行しています。

鼠蹊部だけではなく、太ももの前や内腿〜内くるぶしのあたりにも痛み痺れ違和感がある場合、大腿神経由来の痛みである可能性が高いです。

大腿神経は腸腰筋のすぐ側を走行していて、一番先は伏在神経と名前を変えて足の裏の内側まで到達しているので、鼠蹊部からこのラインにかけて痛みが出ている場合は大腿神経を疑います。

ほまれ鍼灸院長 富本 翔太

足底部の内側に痛みを感じていて、足底腱膜炎や脛骨神経を疑って検査を行っても問題がない場合、意外と伏在神経由来の痛みであることがあります。

十中八九、股関節や腰の硬さに問題を抱えている場合がほとんどです。

鼠蹊部から太ももの外側に痛みや違和感がある場合は外側大腿皮神経を疑います。

外側大腿皮神経炎に対する鍼治療

痛みが厳密に鼠蹊部のみに限局しているのであれば、腸骨下腹神経や腸骨鼠蹊神経などを疑います。

鼠蹊部から下腹部〜脇腹のあたりにも痛みが出ていればより一層怪しくなります。

神経痛は主に神経が根本の部分で絞扼を受けるか、その走行の途中の抹消の部分で絞扼や圧迫を受けるかのどちらかによって発症します。

鼠蹊部あたりを押さえた際に痛みの再現があるようでしたら、神経が抹消の部分で影響を受けて痛みが出ている可能性が高くなります。

神経が根本の部分で影響を受けるヘルニアや神経根症が由来の場合、鼠蹊部の周辺を押さえても痛みが再現されないのが特徴です。

鼠蹊部周辺に圧痛がなく、レントゲンなどで上位腰椎に変形がある場合などは神経由来の鼠蹊部痛である可能性が高くなります。

腰の関節由来

腰の関節である椎間関節は主に腰部の痛みに関与しますが、一部下位レベル(下の方)の椎間関節は鼠蹊部痛の原因となることが報告されています。

椎間関節は腰を反らした際に負担がかかることが特徴ですので、鼠蹊部を動かしても特に痛みがなく、鼠蹊部周辺を押さえても痛みがないのに、腰を反らしたりした際に鼠蹊部に痛みが出る場合は、この部分が原因となっている可能性が考えられます。

多くは加齢に伴う変形が基盤となっていますが、症状の消失という観点で考えれば、骨の変形があったとしても改善可能です。

股関節の変形など構造的な問題

年齢を重ねると骨は変形します。

股関節の変形

骨と骨でできている空間が狭くなったり、骨に棘ができたりして、通常では問題ない動きであっても、痛みが出たり違和感が出るようになります。

股関節は荷重関節と呼ばれる体重を支持する役割を持つ関節ですので、年齢とともに変形が出やすい関節です。

変形があるからといって、必ずしも痛みが出るというわけではありませんが、上記に挙げた鼠蹊部痛の特徴が全て当てはまずに画像所見で変形が明らかである場合は股関節と股関節周辺の靭帯などの組織が痛みを出している可能性が高いです。

鼠蹊部痛に対する鍼治療の実際

先述したように、鼠蹊部痛には様々な原因がありますので、まずは画像検査の結果をはじめ、圧痛の有無、動作時痛の確認などを行い、痛みの原因を特定した上で治療計画を立てます。

鼠蹊部周辺の筋肉が痛みを引き起こしている場合、痛みの原因となっている筋肉に直接鍼を行い、必要に応じて鍼通電を行います。

以下は腸骨筋に対して実際に鍼治療を行っている様子です。

腸骨筋に対する鍼治療

日常的な姿勢不良によって筋肉が持続的に緊張を強いられている場合は、数回の施術で痛みは軽減、消失する場合がほとんどですが、根本的には腰椎〜骨盤〜股関節のアライメントを改善する必要がありますので、痛みの軽減に伴って体幹周辺のトレーニングを実施します。

腸骨鼠蹊神経や腸骨下腹神経など、鼠蹊部周辺の神経由来の痛みの場合は、うつ伏せで上位置レベルの大腰筋を刺激することで痛みの緩和を測ることが可能です。

以下の写真では大腰筋に鍼を行って、鍼通電治療を行っています。

大腰筋への鍼その2

腰椎の椎間関節が原因となっている場合であれば、圧痛と動作痛によって、責任椎間関節(痛みを引き起こしている)を特定して、その部分にピンポイントで鍼通電を行います。

椎間関節に対する鍼治療

この場合も痛み自体は数回の施術で落ち着く場合がほとんどですが、多くの場合は、股関節周辺の筋肉の緊張も伴っている場合がほとんどですので、痛みの軽減に伴い、鍼やストレッチなどを用いて、原因となっている股関節周辺の筋肉の緊張を緩和するように治療計画を立てます。

明らかな腰椎や股関節の変形が原因となっている場合は、まずは鍼通電治療を用いて痛みの緩和を図り、痛みを必要十分にコントロールできるようになった段階で、同じく骨盤周辺の筋肉のトレーニングを計画的に実施します。

豊中市で鼠蹊部の痛みに対する鍼治療なら

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ほまれ鍼灸院は鍼専門の鍼灸院です。

長い針を用いた深鍼治療、トリガーポイント鍼治療、電気鍼治療などの様々な鍼の手法を用いて鼠蹊部の痛みを改善します。

針は全て使い捨てで、施術に使用する器具も全て使い捨て、もしくは滅菌処置を施した物だけを使用します。

主に運動器疾患と呼ばれる筋肉や関節の痛みを中心に日々の臨床に取り組んでいます。

初めて鍼治療を受けてみようか検討している方はもちろんのこと、これまで他院で鍼治療を受けてみたものの、イマイチ効果を実感できなかったという方も是非ご来院ください。

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ほまれ鍼灸院長 富本 翔太

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