外側大腿皮神経炎に対する鍼治療

外側大腿皮神経炎に対する鍼治療
目次

こんにちは、大阪府豊中市ほまれ鍼灸接骨院の富本です。

今回は外側大腿皮神経炎に対する鍼治療について書きます。

外側大腿皮神経炎って?

外側大腿皮神経炎?

名前を聞いてもピンとこない人がほとんどかと思います。

非常にマイナーな名前の症状なので、例え太ももの外側に痛みや痺れを抱えている人であっても、自分の痛みが外側大腿皮神経による痛みだと気づいていない人も多いですが、実は意外と多くの人が悩まされていることが知られています。

以下のような症状がある場合、外側大腿皮神経による痛みの可能性があります。

  • 太ももの外側に痛みがある
  • 太ももの外側にしびれや違和感がある
  • 骨盤(上前腸骨棘)の内側あたりを押さえると痛い
  • ベルトをした際にベルトが当たる場所に痛みがある

その他にも、慢性的にぎっくり腰を繰り返している方で、腰の奥の筋肉である大腰筋が強く緊張してしまい、それによって外側大腿皮神経に痛みが出ている場合も少なくありません。

是非最後までお読みください。

外側大腿皮神経炎とは

外側大腿皮神経は、腰神経叢(L1,L2)から始まり、腰の深部の筋肉である大腰筋の外側を走り、上前腸骨棘の内側で表面に現れて太ももの外側まで続く神経です。

下の画像で青く表示されているのが腰神経叢の枝の一つである外側大腿皮神経です。

外側大腿皮神経

外側大腿皮神経は、その走行の途中で神経の通り道が狭くなっている場所などが存在しており、それらの場所で神経が圧迫や絞扼を受けた場合に太ももの外側に痛みや感覚の異常などが生じることを指します。

外側大腿皮神経炎で痛みや痺れを感じる場所

外側大腿皮神経炎の原因

外側大腿皮神経炎の原因は多岐にわたりますが、中でも多いのが以下の4つです。

  • ベルトの締め過ぎ(タイトな制服)
  • 肥満
  • 慢性的な腰痛や繰り返すぎっくり腰
  • 股関節伸展動作を繰り返すスポーツ

ベルトの締め過ぎ

外側大腿皮神経が表面に出てくる場所は、上前腸骨棘の内下方であり、ちょうど腰にベルトを巻いた際に、骨盤にベルトが当たる場所と一致します。

外側大腿皮神経が表面に出てくる場所

スーツや制服などで窮屈なベルトを長時間巻き続けることは、外側大腿皮神経を表面から直接圧迫することとなり、外側大腿皮神経炎の原因となりやすいと言われています。

実際、過去には軍人に発生しやすいなどの報告がされています。

軍隊服は重たいベルトを着用しながら、行進などで太ももの筋肉を酷使することから大腿外側皮神経にストレスが強くかかっていたことが想像できます。

肥満

肥満の人にも発症しやすいと考えられています。

肥満の人に外側大腿皮神経炎は少なくありません。

肥満になると洋服からの締め付けを受けやすいのに加えて、ベルトを巻いた際にも骨盤周囲が窮屈になることから、外側大腿皮神経が表面に出てくる骨盤の内側の部分で外部からの圧迫を受けやすくなることが考えられます。

慢性腰痛と繰り返すぎっくり腰

外側大腿皮神経は腰の深部に存在する大腰筋のすぐそばを走行します。

慢性的な腰痛やぎっくり腰を抱えている人の大多数は大腰筋に緊張が見られる場合が多く、これらの症状を抱えている方は腰痛の悪化と同時に、外側大腿皮神経が感覚を支配している外側の太ももの辺りに痛みや痺れを訴える場合があります。

腰神経叢と大腰筋について詳しくは大腰筋に対する鍼治療をご参照ください。

股関節伸展動作を繰り返すスポーツ

外側大腿皮神経は上前腸骨棘の内下方より深部から表面に出てきますが、その際に太ももの筋膜を貫通します。

太ももの筋膜は股関節伸展位をとることによって緊張が強くなるので、股関節の伸展動作を繰り返すサッカーや野球、バレエといったスポーツを行なっている場合は発症の原因となりやすいと考えられています。

股関節の伸展動作の繰り返しは外側大腿皮神経の原因の一つ

外側大腿皮神経炎に対する鍼治療

外側大腿皮神経炎に対して鍼治療は非常に有効です。

外側大腿皮神経が、体の表面に出てくる骨盤の部分で圧迫や絞扼などの障害を受けている場合は、お尻から太ももの筋肉に対して鍼を行い、外側大腿皮神経を圧迫する筋膜の緊張を軽減させます。

ここまでであれば、整体やストレッチ、電気治療などでも同等のことが行えますが、これらの治療をおこなったにもかかわらず症状が軽減していない場合は、原因が表面の筋膜ではなく深層に存在する大腰筋であることが想像できます。

大腰筋は皮膚表面から最低でも6センチ先に存在していることから、整体やマッサージなどの手技による治療では直接刺激を加えることができません。

この部分に対して、唯一直接刺激を加えることが可能なのが鍼治療です。

当院では専門的な研修を受けた鍼灸師が長い鍼を用いた深鍼での治療をおこなっており、大腰筋に対しても直接鍼治療を行うことが可能です。

以下は当院での大腰筋に対する鍼治療の実際の様子です。

大腰筋に対する鍼治療の様子

ズシンと重だるい響きの感覚が出やすい鍼治療ですが、その分効果も期待でき、痛みの程度や発症から経過した期間によって個人差はありますが、外側大腿皮神経炎の場合、大体1回から数回(5回)程度で症状の軽減が得られます。

まとめ

外側大腿皮神経炎は、名前こそマイナーですが、腰痛を抱えている人やスポーツを行なっている人を中心に意外と多くの人が悩まされている症状です。

改善するためには腰や太ももの筋肉の緊張を和らげることが大切です。

鍼灸治療は外側大腿皮神経の改善に非常に有効ですので、股関節から太もも外側の痛みや痺れでお悩みの方は是非一度ご相談ください。

余談

外側大腿皮神経炎は、あの超有名精神医学者であるフロイトが罹患していたことでも知られています。

あのフロイトも外側大腿皮神経炎を患っていた。

フロイトは精神科医として有名ですが、実はその前に神経病理学者として活躍しており、その時期に外側大腿皮神経炎の患者を少なくない数診たようです。

加えて、39歳の時に自分自身の7年来の外側大腿皮神経炎について論文で発表した事実もあり、この話からもわかるように、マイナーな症状ではあるものの、決して少なくない数の人が悩まされていることに違いありません。

ほまれ鍼灸接骨院院長 富本 翔太

この記事を書いた人