こんにちは、ほまれ鍼灸接骨院の富本です。
今回は坐骨神経痛に対する鍼治療について書きます。
坐骨神経痛も原因によって数種類に分類されており、そのタイプによって鍼治療の効果の現れ方は異なりますが、深部に存在している筋肉の硬さによって発症しているタイプであれば、当院でおこなっている深鍼での治療が非常に効果的です。
この記事では、坐骨神経痛に対する鍼治療について細かくまとめていますので、是非最後までお読みください。
坐骨神経痛以外の腰痛に関しては、腰痛に対する鍼灸治療をご参照ください。
目次
坐骨神経痛とは?
坐骨神経痛とは、坐骨神経が腰やお尻、脚に存在する神経の通り道が狭くなっている場所などで圧迫を受けることによって、お尻や足に痺れや痛みが出現する症状のことを指します。
デスクワークに従事する多くの現代人が悩まされている代表的な症状の一つです。
様々な原因によって発症する坐骨神経痛ですが、多くは以下の3つが原因です。
- 腰のヘルニアによるタイプ
- 脊柱管狭窄症によるタイプ
- 腰とお尻の筋肉の硬さによるタイプ
どのタイプでも似たような症状が現れますが、発症の原因はそれぞれで全く別物です。
詳しく見ていきましょう。
ヘルニアによる坐骨神経痛
ヘルニアによって、神経が圧迫され、それによって脚に痺れが痛みが出現することがあります。
ヘルニアが発症する位置によって痛みや痺れの範囲が異なりますが、最も多いのは腰の4番目と5番目の骨の間にある椎間板に問題が起こるパターンであり、この場合は太ももの裏側や脛〜ふくらはぎのあたりに痛みや痺れが出現します。
このような場合は、ヘルニアが治らない限り、痺れや痛みが改善しないと思われがちですが、決してそうとは限りません。
もちろん、ヘルニアを発症したばかりの状態であれば、まずはヘルニアに対する治療が必要ですが、状態によっては鍼治療が有効な場合もあります。
ヘルニアに対する鍼治療について、詳しくはヘルニアに対する鍼灸治療をご参照ください。
脊柱管狭窄症による坐骨神経痛
脊柱管狭窄症によって坐骨神経痛が発症するパターンも少なくありません。
筋肉の緊張などによる場合、多くは片脚のみに痺れが出現しますが、脊柱管狭窄症に由来する場合は、片脚だけでなく両脚共に痺れが見られる場合もあります。
この場合もヘルニアと同じく、診断名が脊柱管狭窄症であっても、実際に痛みや痺れを引き起こしているのは次に紹介する腰とお尻の筋肉である場合が少なくありません。
脊柱管狭窄症について、詳しくは脊柱管狭窄症に対する鍼治療をご参照ください。
腰やお尻の筋肉の硬さによる坐骨神経痛
ヘルニアや脊柱管の狭窄以外に、腰やお尻の筋肉の緊張によって坐骨神経痛が出ている場合もあります。
代表的な原因となっているのが以下の筋肉です。
- 梨状筋
- 大腰筋
どちらも深部に存在している筋肉で、デスクワークなどの影響で硬くなりやすい代表的な筋肉です。
ヘルニアや脊柱管狭窄症に対しても鍼治療は非常に有効ですが、特に筋肉の緊張が原因となって発症するこのタイプの坐骨神経痛に鍼治療は非常に効果が見込めます。
梨状筋症候群に対する鍼治療
最も多いのがお尻の梨状筋による坐骨神経の圧迫です。
梨状筋症候群と名前がついているくらい、坐骨神経痛において原因となっていることが多いのが梨状筋です。
(画像青色の部分が梨状筋です。この部分で坐骨神経と交差しており、梨状筋に緊張などが強く見られた場合に神経に影響が及び、痛みや痺れが発症します。)
仙骨の前面から大腿骨に付着する梨状筋ですが、この筋肉の下を坐骨神経が走行しており、何らかの原因により梨状筋の緊張が強まることによって、この部分で神経が圧迫を受けて発症します。
椅子に座っている際に、ちょうど圧迫を受ける場所なので、坐骨神経痛の症状が長時間座っている際のみ出現する場合は、梨状筋が原因となっている可能性が高いです。
梨状筋症候群による坐骨神経痛には鍼治療が非常に効果的です。
以下の写真は当院でおこなっている梨状筋症候群に対する鍼治療の様子です。
深部に存在する筋肉に直接刺激を入れるのと同時に、鍼通電療法を行うことで、多くは数回の治療で良くなります。
詳しくは、梨状筋症候群に対する鍼治療をご参照ください。
大腰筋症候群に対する鍼治療
腰の深部に存在する大腰筋の緊張によって坐骨神経痛が出現する場合があります。
大腰筋は、腰の皮膚表面から6センチ先に存在する腰のインナーマッスルです。
腰骨から脚まで伸びている大きな筋肉で、主に股関節を曲げたり姿勢を伸ばしたりする役割を持ちます。
デスクワークや長時間の運転などで座りっぱなしで仕事をしている人は、必然的に股関節が常に曲がっている姿勢でいるため、大腰筋の緊張が非常に強くなり、慢性的な腰痛やぎっくり腰を発症しやすくなります。
加えて、腰神経叢と呼ばれる、脚へ向かう神経が大腰筋の周囲を走行していることから、大腰筋の緊張が強くなることで、この部分で神経が圧迫を受けることがあり、腰の痛みだけでなく、太ももや脚にまで痛みや痺れといった症状が出現する場合があります。
腰神経叢は6つの枝に分岐することから、圧迫を受ける神経によって、痛みや痺れが出る場所も異なります。
坐骨神経痛と聞けば、太ももの裏側やふくらはぎの痺れだけを想像しがちですが、決してそんなことはなく、大腰筋の緊張が原因となっている坐骨神経痛の場合は、太ももの前側や外側、内側など、幅広い範囲に痺れが出る可能性があります。
大腰筋の緊張によって坐骨神経痛が出ている場合、鍼治療は非常に効果的です。
以下の写真は当院で行っている大腰筋性の坐骨神経痛に対する鍼治療の様子です。
大腰筋に加えて、腰方形筋、脊柱起立筋、多裂筋、中臀筋に対して鍼を行なっています。
深部に存在する坐骨神経痛に鍼をすると、ズシンと重たい『響き』と呼ばれる感覚が出現し、普段感じている重だるい痛みや痺れなどの感覚が再現されます。
坐骨神経痛が出現してから間もないタイミングであれば数回の治療で痺れは大幅に軽減します。
慢性の場合は、継続的な通院が必要となりますが、根気良く治療を続けることで、痛みや痺れは日常生活に問題が無い程度でコントロールすることが可能です。
大腰筋に対する鍼治療について詳しくは、大腰筋に対する鍼治療をご参照ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
以上が坐骨神経痛の簡単な分類と、当院で行っている坐骨神経痛に対する実際の鍼治療の様子です。
当院では、深鍼の専門的な勉強会に参加した鍼灸師のみが鍼治療を行います。
大腰筋への鍼治療はどこの鍼灸院でも受けられる治療ではありません。
坐骨神経痛はもちろんのこと、その他の慢性腰痛やぎっくり腰などにも非常に有効な鍼治療ですので、慢性的な腰やお尻の痛みでお悩みの方は是非一度ご相談ください。
その他の腰痛に関しては、腰痛に対する鍼灸治療をご参照下さい。