
こんにちは、豊中市のほまれ鍼灸院の富本です。
先日、当院に来院された患者さんに来院理由について聞くと、以下のようにお答えいただきました。

『豊中市 鍼灸院』とネットで検索して、上位に表示されたページを複数見比べて信頼できそうだと感じたので来院した。
非常にありがたい話ではありますが、当院のHPはその検索ワードだとすぐには検索結果には表示されないので、『相当沢山のHPを見比べたんじゃないですか?』と再度質問すると、『はい、かなりの数のHPを見比べました、検索して一番上に出てくるサイトはなんとなく怪しい感じがして選ばないようにもしているので』と答えられました。
検査結果の一番上位に表示されるのはリスティング広告のことですね。
Googleに広告費を払っている金額が大きい順に上位に表示されます。
筆者はこの話を聞いたときに、目の前の患者さんが広告に関するリテラシーが高い方だなと感じたと同時に、患者さんの多くが広告に関して勘違いしている場合も少なくないのではないかと感じました。
と言うのも、この患者さん以外からも、広告を出している治療院について『沢山広告を打っているところは信用できない』とか『ネットで検索した際に一番上に来ているところはなんだかちょっと怪しいと思って避けている』といった話を聞くからです。
広告を毛嫌いする人は多いですよね。

CMは鬱陶しいし、チラシも鬱陶しい。

広告を出しているくらいだから、どうせ暇なんだ。
上記のように考えている人も少なくないでしょう。
確かに沢山広告を打ちまくっている治療院はちょっと怪しいですよね。
世の中は広いですから、何もしなくても紹介だけで患者が溢れている治療院も沢山あります。
そのような治療院は広告を打っていない場合が多いので、広告をしている=あまり忙しくない=広告を出しているくらいだからどうせ暇なんだと患者さんが思われるのも無理はないでしょう。
でも実際のところはどうでしょうか?
広告を見て気になって問い合わせたお店がすごい混んでいて待たされたり、広告を見て気になってお店に足を運んだら目当ての物が既になかったなんてこと誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?
医療機関などでも看板を見て存在を知った病院や歯医者に連絡してみると、予約がいっぱいで断られたなんてケースも少なくないでしょう。
広告をかけている結果忙しくなっているという側面も勿論ありますが、『広告をしている=暇な店、広告をしている=信用できない』といった方程式は必ずしも正解だとは言えないのが事実です。
筆者は広告を受け取る消費者側として、元々は広告をしている企業に対して『広告をしないと成り立たないビジネスなんだな』とか、『広告をしているってことは暇なんだろうな』といったある種の偏見を抱えており、実際に自分が鍼灸院を開業してからも広告をしないことに関する美学を頭の中に思い描いていて、しばらくの間は全く広告を行っていなかったのですが、開業してから色々と試行錯誤して失敗を繰り返してきた結果、現在では考え方が大きく変わって様々な媒体を用いて広告を行っています。

(↑筆者の鍼灸院がとある駅のAED装置に出している看板の様子。広告といえばCMやチラシを思い浮かべる人も多いでしょうが、駅にある看板も広告の一つです。)
過去に鍼灸整骨院の選び方に関する記事を書きましたが、当時と比べると現在は広告主としても広告を受ける消費者側としても広告に関する考え方が非常に大きく変わったこともあったので、簡単に自分の考えについてまとめてみたいと思います。
避けた方がいい鍼灸整骨院の特徴を同業者の視点から徹底的に解説してみた
鍼灸院や整骨院の選び方について迷っている人は参考になる点があるかと思いますので、ぜひ最後までお読みください。
広告とは一体何か?
まず広告というものがそもそも何なのか?についてなのですが、広告とはつまり、文字通り広く告げることですよね。
自社のサービスや商品について多くの人に知ってもらうために、お金をかけて人々のアテンションを引く行為です。

現代社会において、広告の手段は実に多様となっていて、昔からあるテレビや新聞などのマスメディアだけでなく最近ではネット広告が主流となっています。
このような、ありとあらゆる手段を用いて、企業は自分の存在を知ってもらうために努力するわけですが、なぜお金をかけてまで広告をするのかというと、その広告を受けとる人にメリットを生み出すことができると思っているからです。
AppleはiPhoneを手に取る人に便利さを提供できる確固たる自信があるから広告をかけるし、トヨタは車を買う人に同じく便利さを提供できる自信があるから広告をかけているのです。
極端な例ではありますが、上記の会社で言えばすでに熱烈なファンがいるので広告をかけなくてもやっていけるでしょうが、自分達の商品に自信があって、商品の購入を検討している人を満足させる自信があるからこそ広告をかけているのです。
Appleもトヨタも結構広告を見かけますが、鬱陶しいと思って嫌悪感を抱く人は少ないと思います。
(自分が好きで見ている動画の途中などで広告が表示されてタイミング的に鬱陶しいと言うことはあるかと思いますが。)
ですので、決して広告という行為自体が悪と言うわけではありませんが、こと整骨院や整体院の広告となると話が別で、少なくとも筆者は整骨院や整体院関連の広告(特に動画広告)を見ると気分が悪くなります。
その理由は広告をしているという行為自体ではなく、広告の中身が詐欺に近いような内容ばかりだからです。
なぜ整骨院や整体院の広告は良くないのか
繰り返しになりますが、広告という行為自体は悪い行為ではないです。
検索結果の上位に表示されている院は、その検索ワードで検索をする患者さんの悩みを解決する自信があるからこそお金をかけてまで広告をしているのであって、患者側からしても、自分の症状に対して経験や自信が豊富な人に施術してほしいと思うのが当然ですから、正しい内容で広告を行っているのであれば、広告主も広告を受ける消費者の両者にとってWinWinな関係が生まれるはずです。
はずなのですが、、、
こと整骨院や整体院の広告で言えば、広告の内容が詐欺に近いくらい悪質な内容が多いです。
特にその傾向が顕著なのが動画広告です。
XやInstagramを見ていると流れてくる整体院の動画広告。
そのほとんどがバキバキ矯正を受けている様子の動画であり、多少の違いはあれど『バキバキ矯正を受けたら、首や肩のこりが軽くなりました!今なら期間限定でバキバキ矯正が初回たったの〇〇円で受けられるキャンペーン実施中!』といった内容です。
こういった動画は同業者から見たらツッコミどころだらけなのですが、一般の人から見れば何が悪いのかわからないようですので簡単に説明したいと思うのですが、まず大前提としてバキバキ矯正自体が、非常に危険性が高い施術であり、厚生労働省からも注意喚起が出されている施術だと言う点です。
↓(頚椎スラスト行為に対する厚生労働省HPに記載されている注意喚起)

頚椎をボキボキと鳴らすようなスラストと呼ばれる行為は、首の血管を損傷する可能性があります。
実際、諸外国ではスラスト行為によって亡くなった人もいます。
https://www.ntv.co.jp/gyoten/backnumber/article/20170329_02.html
しかも、整骨院や整体院でスラスト行為を行っている施術者は十中八九カイロプラクターではなく、ただの柔道整復師か整体師であって、ひどい場合は素人に毛が生えたくらいの療術師の場合も少なくありません。
スラスト行為は本職のカイロプラクティックドクターが行うのであれば、まだ何とか納得できますが(筆者は本物のカイロプラクターの施術であったとしても頚椎のスラスト行為は絶対に受けたくない)、そうではない人間が行っている行為を不特定多数に広告によって勧めると言う行為は非常に悪質だと思います。
ちなみに上のリンクに貼っている記事で施術をした施術者はカイロプラクティックの正式な免許を持っている医師ですが患者は死亡したようです。
免許を持っている人間が行っても死亡するリスクがあるのが頚椎スラストです。
加えて、整体院の場合だと異なりますが、整骨院の場合だとそもそも法律によって広告できる内容が決まっているのですが、上記のような『行っている施術の内容や流派』は広告してはいけない内容ですので、そもそも広告に関する社会的なルールを守っていないという背景があります。
整骨院や鍼灸院で広告に載せても良いとされている内容
- 施術所の名称
- 施術所の場所
- 施術者の氏名
- 営業時間など
広告してはいけない内容
- 施術者の技能、施術方法、経歴
- 虚偽誇大な表現
- 患者を誤解させるような表現
- 保険適応外の施術を適応内に思わせる表現
これが整体院だと、整骨院や鍼灸院に対する法律とは別の枠組みになるので、ほとんどの整骨院が、同じ施術所の中で整体院を開業して(複数台あるうちのベッド1台の場所を整体院として開業届を出す)整体院として広告を打ち出しています。
そして整体院だと思って来院した患者に対して、『保険を使ってのマッサージもできる』と上手いこと説明して保険を使ってのマッサージを行っています。
整骨院で使える保険は怪我に対してのみですから、当然保険の請求理由も虚偽の理由を記載している場合がほとんどです。
極めて悪質だと思います。
どの業界でも誇大広告と詐欺広告は存在しているが
どのような業界であれど多少の誇大広告はあります。
最近では脱毛クリニックの広告が鬱陶しくて仕方がないと思っている人も多いでしょう。
今申し込めば、6ヶ月分の脱毛が0円かつ、〇〇円分のアマゾンギフト券をプレゼントしますみたいな、明らかに怪しい広告を打ちまくっていますよね。
不動産屋がポータルサイトに実際は存在していない物件の情報をお取り物件(広告)として掲載して、見込み客を集客するのも、広く言えば詐欺広告の一つだと思います。
広告している内容の実際のところが怪しいといった点はありますが、整骨院整体院の広告は釣られてきた患者の健康や命に大きな影響を与える可能性もあるため、他業種の広告と比較しても非常に大きな問題だと思います。
最近では整骨院を利用した患者に対して保険者から書類が届いたりするようになっていて、整骨院を利用する患者側のリテラシーも上がってきたようにも思いますが、そうはいっても、まだまだ初回無料とか大幅な割引に釣られてしまう患者も少なくないので、だいぶ減ったとはいえ、こういった広告も存在しています。
言うまでもなく、初回無料とか、初回の料金を一般常識以上に割引している院は注意が必要です。
(通常10000円を初回のみ500円など)
考えてみればわかることですが、広告を打つためには広告費を払う必要があるのですから、広告を見て来たお客さんから広告費以上のお金を頂かないといけないのです。
その状況で初回500円とか1980円というのは広告主からしても割に合わないので、ほぼ間違いなく高額な回数券やプリペイドカードの契約を迫られます。
これはもう火を見るよりも明らかな事実なので、セールスや勧誘を受けたくないと思っている人は、こういった釣り広告に釣られないようにするリテラシーをつける必要があります。
ネット上で人気の存在のひろゆき氏が過去に嘘を嘘だと見抜ける人でないとインターネットを使うのは難しいと発言しましたが、この言葉を一部借りるのであれば、釣り広告を釣り広告と見抜けないのであれば、広告で表示されるような明らかに安すぎるキャンペーンを行っている治療院には行くべきではありません。
じゃあ、どうやって整骨院や整体院を選べばいいのかわからないと言う人も多いと思いますので、過去に筆者が書いた記事を参考にしてみてください。
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患者は皆、ゴッドハンドを探したがりますが、まずはゴッドハンドを探すよりもルールを守っている治療院を探す部分が先決ではないでしょうか。