緊張型頭痛に対する鍼治療実際例『30代男性会社員』

2025.01.12

緊張型頭痛に対する鍼治療の実例
目次

院長の富本 翔太です

こんにちは、豊中市のほまれ鍼灸院の富本です。

今回は緊張型頭痛で来院された患者さんに対する実際の鍼治療の様子についてまとめています。

以前、緊張型頭痛に対する鍼治療のアレコレについてまとめましたので、総論的な内容についてはそちらをお読みください。

緊張型頭痛に対する鍼治療について

緊張型頭痛は当院の患者さんの来院理由でも最も多い症状ですが、頭痛に鍼と聞くと、

頭痛に鍼?

どのような頭痛に鍼が効くの?

何回くらい通えば良くなるの?

何回くらい通えば良くなるの?

そもそも鍼で本当に頭痛が良くなるの?

そもそも鍼なんかで頭痛が本当に良くなるの?

といったような内容の質問を非常に多く受けますので、参考までに、実際の患者さんの経過を詳細にまとめてみたいと思います。

(患者様からの許可済み)

なかなか治らない頭痛でお困りの方や鍼治療を試してみようか悩まれている方は是非最後までお読みください。

患者データ

患者は営業職で会社勤めをしており、仕事内容としてはデスクワークや車の運転、外回りなど様々です。

しかし数日に一回の頻度で一日中パソコン作業を行うような日があり、頭痛はそのような日で特に強くなるとのこと。

かと言って、仕事が休みの日に頭痛がないかというと決してそうではなく、後頭部辺りが締め付けられるような重だるい痛みや、頭全体に帽子を被っているような感覚があると訴えます。

患者自らが後頭下筋という言葉を使うことから、これまで色々とネットなどで検索して苦労しているであろうことが伝わってきます。

緊張型頭痛の原因となる後頭下筋

当院に来院されるまでに、豊中周辺の脳神経外科などで精密検査も行ったようですが、特にはっきりとした原因が見つからず緊張性頭痛との診断を受けています。

当初は病院で処方された筋弛緩薬などを服用していたものの、ほとんど効果を感じなかったことから現在は中断しているようです。

これまでに職場近くのグループ整骨院で何度か鍼治療を受けた経験もあるようですが、治療時間が短く、待ち時間が長く、毎回施術者が異なり、さらに施術者ごとに施術の方法が大きく異なることから通院を辞め、自宅近くで本格的な鍼灸院を探していたところ、当院の存在を知って頂いたようです。

患者がこれまでに通っていた整骨院は、過去にこのブログでも書いた『選ばない方が良い整骨院の特徴』の記事の特徴に多数当てはまる整骨院なので、気の毒ではありますが、立地の良さなどから多くの人が通っていますので、選んでしまうのも無理はないでしょう。

これに関して語ると長くなりすぎるので別の記事に譲りたいと思います。

選ばない方が良い整骨院の特徴

その他にも、当院に来院される前にネット広告で見つけた豊中周辺の鍼灸院に行かれたようですが、そちらの鍼灸院は東洋医学的な治療を専門に行なっている鍼灸院で、一度治療を受けたものの全く効果がなく、改善する兆しも感じなかったので一度のみで通院を辞められたそうです。

脱線したので、本題に戻ります。

患者はどうしても頭痛が辛い時は後頭部に指を当てて行う天柱マッサージをセルフで実施すると話します。

天柱マッサージ

上の写真のように、頭痛治療に非常に重要なツボである天柱を自分自身で押すセルフケアを天柱マッサージと言います。

頭痛に関する本を読んでいるとよく記載されているセルフケアの一つです。

ここが頭痛の場所であり、ここをほぐすと少し楽になる感覚があるようです。

ここまでの情報をまとめてみると以下のようになります。

  • 30代男性
  • 頭痛部位は後頭部と側頭部
  • 目の奥にも痛みがある
  • ズキズキではなく、締め付けられるような感覚
  • 帽子を被っているかのような被帽感がある
  • デスクワーク、PC作業にて悪化
  • 頭痛薬はあまり効果なし

光や音、匂いに敏感なこともなく、前兆もなく、典型的な緊張型頭痛で間違いなさそうです。

・緊張型頭痛と片頭痛の特徴一覧

鑑別緊張型頭痛片頭痛
場所後頭部(首〜側頭部)側頭部
痛みの種類締め付けるような鈍痛ズキズキと拍動する
前兆ない(首肩こり)目の前がチカチカする
光、音、匂い悪化しない悪化する
運動、入浴悪化しない悪化する

目の奥にも鈍痛があるということで、目に関係する後頭下筋群に原因があることが予想できます。

後頭下筋以外にも緊張型頭痛を引き起こす首肩の筋肉は多数ありますが、触診したところ、僧帽筋や胸鎖乳突筋といった表面に存在する筋肉にはそれほど緊張が見られないことから、首の側面には鍼を行わずに首〜背中にかけての脊柱起立筋と後頭下筋に加えて、側頭筋を中心とした頭皮に対して鍼治療を実施することにしました。

初診

こちらが初回の鍼治療の様子です。

緊張型頭痛の初回の鍼治療
緊張型頭痛に対する鍼その2

↑頭上から見た様子。

写真に写っていない部分にも鍼を行なっています。

緊張型頭痛に関しては、鍼をした際に普段の頭痛や頭を締め付けられるような感覚が再現される反応(得気)が非常に重要です。

患者は、過去に鍼治療を受けていた経験から響きの感覚は苦手ではなく『どちらかというと響きは好き』とのことでしたので、後頭下筋と側頭筋を中心に一つ一つの鍼で響きを確認しながら手技を進めました。

1週間以内には再度来院するように伝えてこの日は終了。

2回目

初回の5日後に来院。

一度目の治療で痛みの自己評価はPS10→5程度に半減したようです。

後頭部の違和感が出ることもほとんどなく、この5日間の間は自分自身で天柱マッサージを行うこともなかったようです。

吐き気を催すこともなく全体的にかなり楽で、ここ数ヶ月の間の中でもかなり調子が良かったとのことです。

以下前回比です。(左が前回、右が今回の治療前の状態)

  • 被帽感(+)→(
  • 後頭部違和感(+)→(+)
  • 側頭部違和感(+)→(+)
  • 吐き気(+)→(
  • 目の奥の鈍痛(+)→(

頭痛が稀に側頭部に現れ、吐き気を催す症状があったので片頭痛の可能性も捨てきれませんでしたが、前回の鍼で治療効果がしっかりと出ていることから、おそらく後頭部や側頭部、首の筋肉の緊張由来の緊張性頭痛で間違いないことがわかりました。

院長の富本 翔太です

片頭痛の場合は、鍼治療の後に筋肉が緩んで血管が広がると逆に頭痛が悪化する場合があります。

緊張型頭痛と片頭痛に関して、鍼治療では同じ場所を狙うことが多いですが、最初の治療では鑑別の意味も兼ねて刺激量を調整します。

治療方針は変わらず、今回も前回に引き続き、首〜背中、頭部を中心に鍼治療を実施しました。

緊張型頭痛に対する鍼治療

見えにくいですが、頭頂部や側頭部、その他の部分にも鍼をしています。

前回と同じく後頭部や側頭部に鍼をした際にズシンと響くような感覚が見られたので、後頭部の鍼に鍼通電療法を行なって終了。

繰り返しになりますが、鍼治療においてはこの響きの感覚の有無が大切で、鍼をした際に普段の症状が再現されるような感覚(得気)があります。

初回の治療で大幅に軽減したものの、しばらくは同じ頻度で通院するように指導してこの日は終了。

3回目

2回目の5日後に来院されました。

現在の頭痛の程度は『2回目来院時の半分くらいの程度』とのことです。

頭に何か被っているような被帽感は完全に消失しており、後頭部の鈍痛は完全に消失とまではいかないものの、非常に軽く天柱マッサージも行なっていない。

これまでは長時間の車の運転などで頭痛が出現していたようですが、現在は問題なしとのこと。

  • 被帽感(−)→(−)
  • 後頭部違和感(+)→(
  • 側頭部違和感(+)→(
  • 吐き気(−)→(−)
  • 目の奥の鈍痛(−)→(−)

十分効果が出ているので、継続して同じ手法の治療を実施しました。

同じ内容の治療なので以後写真は割愛します。

3回連続で詰めて来院してもらいましたが、3回目の治療までに大幅に症状が軽減しているので、次回は1週間ほど空けてから来院するように伝えてこの日は終了。

4回目

3回目の8日後に来院。

1週間ぶりの来院となりましたが、頭痛の程度は2〜3程度の低い状態をキープできている様子。

  • 被帽感(−)→(−)
  • 後頭部違和感(−)→(−)
  • 側頭部違和感(−)→(−)
  • 吐き気(−)→(−)
  • 目の奥の鈍痛(−)→(−)

これまで、頭痛が出ていた動作などで頭痛が出現していないので、確かな効果を実感できているようです。

同じく頭痛に対する当院の基本の鍼治療を実施して終了。

もう一回程度同じくらいの間隔で来院して頂いて、引き続き頭痛の程度が軽い状態をキープできているのであれば来院の期間を広げていきましょうと提案して、この日は終了。

5回目

前回の治療の5日後に来院。

年末年始の長期休暇で地元に帰省する予定があることから、目安としていた1週間よりも早いタイミングでの来院となりました。

これまでの被帽感や吐き気、気分の悪さなどはなく、後頭部の鈍痛も軽いようですが、少しだけ、外後頭隆起のあたりに違和感があるようです。

  • 被帽感(+)→(−)
  • 後頭部違和感(+)→(+
  • 側頭部違和感(+)→(−)
  • 吐き気(+)→(−)
  • 目の奥の鈍痛(+)→(−)

これまでの治療に加えて、違和感を指す部位にも手を加えて鍼治療を実施。

置鍼時間は20分で後頭部の鍼に鍼通電療法を行なっています。

引き続き頭痛の程度と頻度が落ち着いており、症状をコントロールできていることから、これまでよりも期間を空けて2週間後程度の間隔を空けて来院するように伝えてこの日は終了。

6回目

6回目の来院。

前回の来院日からちょうど2週間後に来院。

これまでの治療間隔の中で最も長く期間が空きましたが、引き続き頭痛の程度は軽減しており、吐き気や被帽感なども消失しており良好。

  • 被帽感(+)→(−)
  • 後頭部違和感(+)→(−)
  • 側頭部違和感(+)→(−)
  • 吐き気(+)→(−)
  • 目の奥の鈍痛(+)→(−)

首〜背中までと、後頭部と側頭部を中心に鍼治療を実施しました。

少し久しぶりだったこともあり、側頭部と後頭部の鍼はズシンと響き、普段の締め付けられるような頭痛が再現される感覚もありました。

側頭筋に対する鍼治療

2週間空けて症状の再発が見られなかったことから、今後はしばらく期間を空けて、頭痛が再発する前に来院するように伝えて終了となりました。

まとめ

今回の患者様は当院に来院する前に、脳神経外科にて頭部の精密検査を行ったものの異常が見つからず、他院で鍼灸治療を何度か受けるものの変化が出なかったようですが、当院で行っている頭痛に対する鍼治療では2回目終了時点で大幅に痛みを軽減させることができました。

2回目〜3回目の治療終了時点で頭痛の程度は大幅に軽減していたので、その後の通院は患者様が希望されてのものです。

急性であれば1〜2回程度の鍼治療で良くなりますが、慢性であっても数回続けて治療を行うことで治療効果は高まります。

慢性的に頭痛で悩まれている方のほとんどが自分自身で原因を把握しており、その原因を取り除くことができない限りは頭痛が完全に消失することがないことを理解されているので、定期的な鍼治療を望むことが多く、今回の場合もそのような理由で定期的に鍼をすることとなりました。

緊張型頭痛の名前の通り、その原因のほとんどはストレスによる精神的、肉体的な緊張です。

東洋医学には心身一如(しんしんいちにょ)という言葉がありますが、まさにその通りで、精神的な緊張は肉体的な筋肉の緊張を作りますし、肩こりや首こりといった肉体的な緊張が強ければ、精神的な緊張も強くなってしまいます。

頭痛は慢性化すればするほど治療に必要な期間や回数が増加します。

頭痛薬でコントロールできる程度なら問題ありませんが、頭痛が辛いからといって頭痛薬を長期間飲み続けていると、薬物乱用性頭痛を発症する可能性もあります。

※3ヶ月以上、月に15日以上頭痛薬を服用している場合は薬物乱用性頭痛の可能性があります。

頭痛に鍼なんて効くのか疑問に思われる方もいるかもしれませんが、一度試して見る価値はあるのではないかと思います。

緊張型頭痛に対する鍼治療なら豊中市のほまれ鍼灸院へ

豊中市近辺で頭痛にお困りの方は、是非当院にご相談下さい。

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緊張型頭痛に対する鍼治療について

ほまれ鍼灸接骨院院長 富本 翔太

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