鍼灸師はやめておいた方がいい職業なのか?

2024.03.05

鍼灸師はやめておいた方がいい職業なのか?
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こんにちは、大阪府豊中市ほまれ鍼灸接骨院の富本です。

Googleで『鍼灸師』と検索すると関連ワードに『鍼灸師 やめとけ』といった言葉が表記されます。

Googleの関連ワードは、その言葉を調べた人が興味を持ってそうなワードだったり、実際にこれまでに調べられた結果などを反映して決められているようなので、どうやら、鍼灸師に対してネガティブなイメージを持っている人が多くいるようです。

実際のところ『〇〇×やめとけ』という言葉は、『理学療法士×やめとけ』や『柔道整復師×やめとけ』といった感じで、鍼灸師に限らず様々な職業で検索されているワードなのですが、鍼灸師と検索した際に上位に表示されている事自体は間違いないので、果たして『鍼灸師はやめておいた方が良い職業なのかどうか?』について、個人店ではありますが、鍼灸師として鍼灸院を開業して独立して生きている私が、実体験をもとに色々と思うことについてまとめてみました。

鍼灸師の平均年収について

早速ですが、鍼灸師の年収について見ていきましょう。

『〇〇はやめとけ』といったように言われるには様々な理由がありますよね。

労働環境が悪かったり、人間関係が悪かったりと、様々な要因がありますが、中でも最も大きな理由として考えられるのは『給料が低い』という点でしょう。

給料が低い

ネットで鍼灸師の平均年収について調べると、多少の誤差はありますが、平均すると350万〜400万円と表記されている事が多いようです。

転職まとめサイトなどに表記されている年収は当てにならない事が多いですが、実際、この業界に10年近く身を置いてきた私の実体験的には、平均すると300万〜350万円くらいなので、上記の数字はほぼほぼ正しいといっても間違いないかと思います。

キリ良く考えるため、間をとって350万円としましょう。

月収で換算すると約30万円です。

ボーナスとして受け取っている人も多いでしょうから、実際の毎月の給料で言うと、大体22万円から25万円といったところでしょうか。

そこから社会保障費だのなんだのが引かれるので、手取りで計算すると18万円から22万円くらいになります。

新卒一年目の給料と同じくらいでしょうか。

一年目と考えたら特別悪くないかと思いますが、上記の鍼灸師の平均年収は何も一年目だけの平均ではなく、一年目からベテランまでの平均です。

40代や50代でも月の手取りが18万だったりする場合もあるでしょう。

そう考えるとどうでしょうか?

充分だと思う人もいるかもしれませんが、日本の平均年収が440万円程度と言われているので、それと比較しても少ない金額であることは間違いなさそうです。

この情報だけを見ると、鍼灸師になるのはやめとけと言われても仕方がないかもしれません。

鍼灸師はコスパの良い職業?

給料の額だけを見ると、少なくとも人に勧めようとは思えない職業であることは間違いありませんが、

個人的には、給料の額が多いのか少ないのかは、何もその金額だけでなく、そこに至るまでの過程と業務内容によって決まるのではないかと思う次第です。

要は最近流行りのコスパというやつです。

鍼灸師はコスパの良い職業?

鍼灸師になるのが非常に難しく、何年も何年も勉強してようやく受かるくらいの難関資格であれば、その難易度から考えると年収350万円は非常にコスパの悪い資格だと言えるでしょう。

何年も勉強しないと受からない弁護士や公認会計士、医師といった職業は皆すべからく高収入として知られています。

鍼灸師はどうでしょうか?

実際のところ、鍼灸師になるだけであれば、そこまで難しくありません。

詳しくは別の記事に譲りますが、鍼灸師の国家試験は他の医療系国家試験と比べると比較的難易度が低く、きちんと勉強さえすれば誰でも取れるといっても過言ではありません。

鍼灸師の養成校の入学試験も形だけのようなもので基本的には誰でもなろうと思えばなれる職業です。

偏差値による縛りもありません。

誰でも取れる資格であることを考慮すると、ある意味コスパの良い職業なのかもしれません。

また、業務内容によるコスパについても考えてみましょう。

仕事の時間、常に上司の言われた通りに動き続けなければならない一般的な会社員と比べて鍼灸師は非常に自由な働き方ができる職業です。

開業すれば、誰からも指図されることなく自分が思うような働き方が可能です。

訪問専門として開業したり、美容専門として開業したり、鍼灸師という括りでもさらに自分の得意分野を伸ばして働く事が可能です。

鍼灸院の大半は昼間に休憩を数時間作っていますので、その間に副業をすることも可能ですね。

『副業をする』というと、鍼灸院として成り立っていないのではないかと思う方もいるかもしれませんが、今は国民総副業時代です。

空き時間に副業をしているのは決して珍しいことではありません。

開業して自由な働き方をしていれば、そのようなことも行えますが、会社員として勤めていては、それは難しいでしょう。

開業鍼灸師の収入は全て自分次第

開業している場合は、時間の使い方が自由なので、先ほどの鍼灸師としての年収プラス別の収入も作ることができますが、勤めの場合はそれも難しくなってきます。

開業すると収入は良くも悪くも自分次第とはなりますが、技術を磨き患者さんに喜んでもらえることを追求していけば収入は雇われている場合に比べて青天井となります。

開業して成功した場合を大雑把に考えてみましょう。

仮に鍼灸治療を30分で5000円で提供する場合。

予約がパンパンに埋まるようになれば、1時間に2人ですから、1日8時間働いた場合は16人治療できます。

1人5000円ですから、16人治療すると80000円です。

週に二回休みを作って月に22日働いた場合、80000円×22日ですから、1760000円です。

ここから家賃や使用する鍼代などの経費を差し引いても、先ほどの平均年収より年収が高くなるのは想像に難しくないかと思います。

(流石にここまで上手く行っている方が少ないかと思いますが、上のモデルケースの場合は稼働率が40%であっても、700000円近くの売り上げになるので、十分な収入と言えるのではないでしょうか?)

また、最近は訪問や出張専門で開業する人も増えています。

訪問先の患者様の住所などにもよりますが、大体一人あたり20分〜30分の施術時間になるので、効率よく移動することができれば、1時間で2人の施術を行うことが可能で、8時間で同じく16人の施術が可能です。

訪問の場合は、テナントを借りて開業するよりも、固定費が安く済むので、移動用の車やバイクを自家用車で行うことができれば、大きな経費はほとんどかからないので、さらに手元に残る金額は増えるでしょう。

美容鍼灸などは、最初にテナントにかかる費用こそ高額になりがちですが、基本的に1回当たりの単価が高いので、こちらも予約が埋まる様になれば、通常の鍼灸院よりもさらに稼ぎが増える可能性もあります。

自分次第で、先ほどの平均年収の倍以上を稼ぐことも可能ですので、非常にやりがいのある良い職業ではないかと思います。

まとめ

鍼灸師になるのを勧めるかどうか、真剣に相談された場合は、個人的には強く勧めたいと思います。

ただし、開業するに限ります。

勤めの場合は厳しい部分があるのは否めないでしょう。

拘束時間も長く、給料も高くなく、よっぽど目的意識を持っていないと長く続けることは困難かと思います。

一般的なサラリーマンの様に安定した環境で働きたいと考えている人には不向きな職業であることは間違いないかもしれません。

独立すれば働き方も収入も自分次第です。

治療内容という観点からも、医師の指示の元行わなければいけないものではなく、自分次第で改良を重ねて技術を磨くことも可能です。

どの職業にも言えることですが、結局のところは、個人の性格と目的によるのかもしれません。

個人的には、良い面ばかりではありませんが、鍼灸師という職業は天職だと考えています。

ほまれ鍼灸接骨院院長 富本 翔太

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