
こんにちは、豊中市のほまれ鍼灸院の富本です。
この記事ではタイトルにもあるように仙腸関節性の腰痛に対する鍼治療について鍼灸師が解説していきます。
仙腸関節性腰痛は意外と多い腰痛の原因の一つです。

最も多い筋筋膜性腰痛や椎間関節腰痛と比べると絶対数は少なくなりますが、全腰痛の1〜2割程度を仙腸関節性腰痛が占めているという報告もあり、決して無視できない腰痛です。
原因不明として扱われていることも少なくない仙腸関節性腰痛ですが、適切な評価と施術を行えば十分改善が期待できる腰痛です。
仙腸関節性腰痛の特徴と、鍼治療の有効性や、実際に鍼治療をする際の注意点、ポイントなどについて解説していますので、仙腸関節性腰痛でお悩みの方は是非最後までお読みください。
仙腸関節とは
仙腸関節は背骨の一番下に位置している仙骨と骨盤を構成する骨の一つである腸骨が形成している骨盤部分の関節です。
↓画像赤丸の部分が仙腸関節です。

左右一対ずつ存在しており、身体にかかる荷重の分散や、地面から伝わる力の分散を担っている関節です。
元々は動かない関節として考えられていましたが、現在は僅かではあるが動きを伴う可動関節であると考えられています。
仙腸関節が僅かな可動域でも動くことによって、腰部や骨盤にかかる圧力を分散する役割を果たしており、何らかの原因によってこの関節の動きが制限されてしまうことによって痛みが発症すると考えられています。
仙腸関節性腰痛の特徴
仙腸関節性腰痛は一般的な腰痛と痛みが出る場所に特徴があります。
以下が仙腸関節性腰痛の代表的な特徴です。
- お尻に痛みがある
- 上後腸骨棘にピンポイントで痛みを感じる
- 仙腸関節そのものに圧痛が見られる
- 鼠蹊部に痛みを感じる
- 歩行や階段昇降など、片脚荷重の際に痛みを感じる
仙腸関節性腰痛では、腰の中でもかなり下部に痛みが出ます。
他のよくある腰痛のタイプの代表例として挙げられる筋筋膜性腰痛の場合は上位腰椎周辺に痛みが出現し、椎間関節性腰痛の場合は下部腰椎のすぐそばに痛みが出ることと比較すると、仙腸関節性腰痛は腰痛というよりも、むしろ骨盤からお尻にかけての痛みを引き起こす骨盤痛と表現しても差し支えないかもしれません。
下の画像で赤い丸で囲まれている部分が仙腸関節性腰痛で痛みが出現するポイントです。
赤=仙腸関節性腰痛 青=椎間関節性腰痛 緑=筋筋膜性腰痛

鼠蹊部に放散痛が出現するのも大きな特徴の一つです。
鼠蹊部に痛みが出るメカニズム自体ははっきりとわかっているわけではありませんが、仙腸関節の前方を走行している腸腰筋が鼠蹊部(大腿骨の小転子)に付着していることから、仙腸関節に痛みが出現した結果、すぐ側を走行している腸腰筋に緊張が伝達し、鼠蹊部に痛みを引き起こしていることが考えられています。

ですので、座っている際に痛みが出るタイプで、その痛みが骨盤の後上の方でピンポイント、かつ鼠蹊部にも痛みが出る場合などは、仙腸関節性腰痛の可能性が非常に高いと考えられますが、医療者側としては具体的には仙腸関節障害スコアと呼ばれる評価方法を用いて他の腰痛との鑑別を行います。

鼠蹊部に痛みが出るのは仙腸関節性腰痛の特徴の一つですが、他のタイプの腰痛でも鼠蹊部痛が出現することもありますので、その他の項目なども十分加味して鑑別する必要があります。
仙腸関節障害スコアと診断に重要な特徴
| 項目 | スコア |
| 一本指差しテスト | 3 |
| 鼠蹊部痛 | 2 |
| 座位で疼痛誘発 | 1 |
| ニュートンテスト誘発 | 1 |
| PSIS圧痛 | 1 |
| 仙結節靭帯圧痛 | 1 |
| 仙骨ブロック注射で疼痛軽減 |
↑これら9点満点中、4点以上だと仙腸関節性腰痛の可能性が高いと判断されます。
少し難しい専門用語が入っていますが、概ねすでに説明した上記の特徴と同じです。
このうち仙腸関節ブロックだけは整形外科などの医療機関でしか実施することができません。
仙腸関節性腰痛の場合は、仙腸関節ブロックで痛みの程度が大幅(70%以上)に軽減されることが報告されているので、まずは整形外科を受診することが大切です。
仙腸関節ブロック以外の評価は病院以外の鍼灸院や整骨院などでも可能です。
多くの場合は上記の仙腸関節障害スコアや特徴と照らし合わすことによって、痛みの原因を洗い出すことが可能です。
仙腸関節性の原因
仙腸関節性腰痛の原因ははっきりとはわかっていません。
女性の場合は妊娠中などにホルモンの影響で骨盤部分の恥骨結合や仙腸関節付近の靭帯が通常よりも緩むことがわかっており、これによって妊娠出産前後の女性において出現しやすいことは間違いありませんが、その他の老若男女全員に発症する可能性のある腰痛です。
一般的な腰痛の原因とされる、長時間座っている姿勢、前屈み動作の繰り返し、重たいものを持つ、いつも同じ側の脚を組む、片脚荷重など様々な原因がかみ合わさって発症すると考えられています。
多くの場合は仙腸関節周囲に存在する筋肉や関節の硬さによって、周囲の筋肉に緊張やアンバランス(弱体化)が生じ、その影響で仙腸関節に負荷が集中して発症することが考えられます。
仙腸関節性腰痛に対する一般的な治療プロトコル
仙腸関節性腰痛はレントゲンやMRIなどの画像所見では異常が見つからないと判断される非特異的腰痛の一つです。
非特異的腰痛は基本的には3ヶ月程度の保存療法で多くの場合改善すると考えられているので、この間の期間で、腰部や臀部の筋力強化、ストレッチング、温熱療法や電気治療といった一般的なリハビリテーションを実施することが推奨されています。
また、仙腸関節の後方に存在する後仙腸靭帯へのブロック注射も痛みの改善に非常に効果的であることがわかっていますので、まずは整形外科にて治療とリハビリを行うことが一般的であり最も勧められる治療計画の一つです。
仙腸関節に巻く骨盤ベルトも有効な可能性があります。
仙腸関節に不安定性が生じており、それに付随して痛みが出現している場合は骨盤にベルトを巻いて仙腸関節の固定をサポートすることで、その場で痛みが緩和消失する場合もありますので、まずは試してみる価値があるかと思われます。
仙腸関節性腰痛に対しての鍼治療の有効性
椎間関節性腰痛や筋筋膜性腰痛と比較すると、論文や報告例の数は少ないですが、全日本鍼灸学会や東京都鍼灸師会などで以下のような論文や症例報告が発表されています。
・全日本鍼灸学会での東京有明医療大学の谷口先生による発表
東京都鍼灸師会の有馬先生による報告
仙腸関節性腰痛の多くは、仙腸関節に存在する後仙腸靭帯や仙結節靭帯、仙腸関節付近に存在する筋肉(多裂筋、大臀筋、梨状筋、腸腰筋)の筋緊張を緩めることによって軽減することが明らかとなっています。
仙腸関節性腰痛に対する実際の鍼治療について
当院では仙腸関節性腰痛に対しては局所治療と原因治療の両面のアプローチでの施術を行なっています。
仙腸関節付近で痛みを出している原因となっている組織に鍼を実施して、仙腸関節や周囲の炎症やむくみを解消して痛みの緩和消失を行うのと同時に、仙腸関節に痛みを引き起こしている原因である腰部や股関節周辺の異常を発見し解消します。
以下の写真は右側の仙腸関節と右の下部椎間関節に対して、実際に当院で行なっている鍼治療の一例です。
(お尻の部分に一部画像の編集を行なっています。)
右側の後仙腸靭帯、大臀筋、仙結節靭帯に対して鍼治療を行なっています。

仙腸関節性腰痛の場合、特に仙腸関節のすぐ後ろに存在している後仙腸靭帯に鍼をすると普段の痛みが再現されるような感覚が出現するのが特徴です。
仙腸関節性腰痛も他の腰痛と同じで、多くの場合、上下や周囲の関節の動きに異常が生じていたり、それによって周囲の筋肉の筋緊張による柔軟性低下や筋力低下が起こっています。
当院では仙腸関節に対する徒手検査だけでなく、股関節周囲筋の検査も徹底的に実施して痛みの原因まで見つけて施術を行なっています。
発症してから数日から数週間程度の場合は数回(5〜6回)程度での施術で解消される場合が多いですが、発症してから年数が経過している慢性的な場合は2〜3ヶ月程度の鍼治療と筋力トレーニングなどを組み合わせた包括的な治療が必要です。
仙腸関節ブロックで痛みに変化がなかった方でも仙腸関節周囲への鍼治療で痛みが改善する場合も少なくありません。
この治療効果の現れ方について、現段階で100%理解されているわけではありませんが、おそらく仙腸関節そのものだけが痛みを引き起こしているのではなく、仙腸関節性腰痛を発症した結果、仙腸関節周辺の靭帯や多裂筋、大臀筋、梨状筋といった筋肉などの組織も痛みを引き起こしており、それらの緊張を効果的に緩めることによって鍼治療の効果が出ているのだと推測できます。
豊中市で仙腸関節性腰痛でお困りなら
豊中市で仙腸関節性腰痛でお困りなら、豊中駅からすぐのほまれ鍼灸院にご相談ください。

ほまれ鍼灸院は筋肉や関節の痛みに特化した西洋医学的な鍼灸治療を行っている鍼灸院です。

仙腸関節性腰痛の場合は、痛みがある腰や臀部にただ鍼をするだけではなく、仙腸関節に痛みを引き起こしている原因を徒手検査などで確認して原因となっている組織の治療までを行っております。
仙腸関節性腰痛は整形外科でのレントゲンやMRIといった画像検査ではわからないことも多く、長年、原因のわからない腰痛として悩まされている人が非常に多い腰痛です。
鍼治療を試してみようと思われている方は是非お気軽にお問い合わせください。
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