ランニングでよくある腰痛の種類と対策について

ー 2026.09.25

ランニングによる腰痛の原因と対策
目次
院長の富本

こんにちは、豊中市のほまれ鍼灸院の富本です。

全人口の80パーセントが長い人生において一度は経験すると言われている腰痛。

多くの人が悩まされている腰痛

デスクワークや立ちっぱなしなど、腰痛の原因は人それぞれですが、運動後に腰痛に悩まされている方も少なくありません。

現在、非常に多くの人が取り組まれているスポーツがランニングです。

非常に気軽に始められるランニング

ランニングはランニングシューズさえあれば、いつでもどこでも無料で始めることができることもあって 、年々競技人口が増えています。

他のスポーツと違って突発的な怪我が少ないのもランニングの大きなメリットの一つに挙げられますが、かといって、全く安全かというとそうではなく、腰、膝、足などを痛める人が後を立ちません。

この記事では、実際に趣味としてランニングを行っている鍼灸師が、ランニングによって腰痛が発症する理由やランニングによって腰痛を発症しやすい人の特徴などについて記載していますので、走っている際や走った後などに腰が痛くなってしまう方は是非最後までお読みください。

ランニングで腰痛が出現しやすい人の特徴

ランニングで腰痛が出現しやすい人の特徴は以下の通りです。

  • 一日中座って仕事をしている
  • 股関節周辺の筋肉が硬い
  • 腹筋をはじめとしたコアの筋肉が弱い
  • 必要以上に早いペースで走っている
  • 走行ボリュームが現在の実力を超えている

よっぽどの経歴を持っているランナー以外(過去に陸上部で走る事に慣れているなど)は、上記の理由の複数もしくは全てに当てはまっている場合も少なくありません。

特に『デスクワークによる運動不足の解消にランニングを初めてみた』くらいの初心者の方は多くの場合、上記の理由の3つ以上に当てはまっています。

それぞれどういった理由で腰痛を引き起こすのかを順番に見ていきましょう。

一日中座って仕事をしているデスクワーカー

現代人のほとんどは1日の大半の時間を座って過ごしています。

デスクワークのランナーは腰痛が出現しやすい

長時間座っていることによって、股関節の筋肉、特に股関節の前方に付着している大腰筋、腸骨筋、大腿筋膜張筋といった筋肉が縮こまっている状態です。

これらの筋肉が非常に硬くなっている場合は、座っているだけで次第に腰痛やお腹〜脚の違和感が出現する場合が少なくありません。

特に大腰筋の柔軟性が失われている状態だと、走る際に股関節を伸展する動きがスムーズに行えず、その分、腰に対して過剰に反らすような力が働くこととなり、腰痛を引き起こします。

腹筋をはじめとしたコアの筋肉が弱い

コアの筋肉が弱い方はランニング中に腰痛を発生する可能性が高くなります。

腹筋(腹直筋)は胸骨から始まり恥骨に停止する筋肉で、収縮することによって骨盤を後傾方向に引っ張り、過度に前弯している腰や骨盤のポジションを正してくれるような役割を持つランニングにおいて非常に重要な筋肉です。

この筋肉が弱いと、デスクワークなどで緊張してタイトになっている股関節前方の筋肉による腰椎と骨盤の前傾方向への動きに拮抗することができなくなり、必要以上に腰が反っている状態となり、椎間関節性腰痛や筋筋膜性腰痛といったランナーにとって代表的なタイプの腰痛を引き起こしてしまうきっかけとなってしまいます。

男女ともに起こりうる原因ですが、特に女性は元々腹筋が弱い傾向にある人が多く、かつ必要以上に股関節が内旋して腰が反っている姿勢の方が多いので原因となりやすい場合があります。

必要以上に早いペースで走っている

走るスピードが速く慣ればなるほど、ストライド(歩幅)が大きくなり、一歩ずつ股関節を伸展する幅が大きくなります。

フルやハーフなどの記録を狙って走っている方などは、当然ペースを上げるために、股関節の力を使って走ることになるので、ある意味仕方がない部分がありますが、走っている人の大半は記録向上の為ではなく、健康増進やダイエット、ストレス解消といった、もう少しイージーな目的のはずです。

走ることを始めると、走れる距離が伸びてきたり、走るスピードが上がってきたりと、自然と走れる体になってきて、ついつい距離やペースを上げていきたくなりますが、腰痛などの身体の異常が出現している場合は、一度ペースやフォームを見直す必要があります。

特に上記のような目標であれば、決して速く走る必要はなく、横にいる人と会話ができるくらいのスローなペース(k6分〜7分)程度でも十分な効果が期待できます。

参考書籍‥ゆっくり走れば速くなる

走るペースを落とすと、股関節の動く幅が狭くなり、腰にかかる負担もそれだけ軽くなります。(よほどの長距離を走る場合を除く)

その分、股関節より下の太ももの前や後、ふくらはぎの筋肉などには負担がかかりますが、ゆっくり走ることでこれらの筋肉を鍛えることは、長い距離を走る際の良いトレーニングにもなるので、腰痛に悩まされている方は単純に走るスピードを調整するだけでも軽減する可能性があります。

純粋に走行ボリュームが現在の実力を超えている

ランニングは他のスポーツと違って、対人コンタクトなどもなく、アクシデントによる怪我のリスクなども非常に低いことがメリットに挙げられますが、一方で、一人で気軽にスタートして追い込むことができる分、少なくない割合の方が、現在の自分の実力を超えて走りすぎてしまっている場合が少なくありません。

走っているボリュームが多すぎる

確かにアクシデントによる怪我は少ないですが、走れば、一歩ごとに足〜膝〜股関節〜腰に衝撃が加わります。

走ることによって加わるそれぞれの関節に対する衝撃は、歩く時の数倍以上なので、いくら股関節の柔軟性が確保されていて、コアの筋肉の筋力が良好であっても、単純に走る距離やリカバリーに当てる日数が少ないと、それだけ身体にかかる衝撃は蓄積されていって、結果的には故障(腰痛)につながります。

走り出してからしばらく期間が経って慣れてくると、距離もペースも上がってきて、どんどん走りたくなりますが、

走るスピード(ペース)、総走行距離、休息のバランスを考えながらランニングを楽しむことが重要です。

ランニングで腰痛が出現した場合の対策

ランニングで腰痛が出現した場合、いきなり整形外科や治療院を必要とする場合は多くありません。

まずはセルフケアやストレッチといったリカバリーに力を入れるのと、適切な負荷量を調整することが大切です。

まずは以下の3つの点を見直してみましょう。

  • セルフケアを適切に行う
  • ランニング量の調整
  • 体幹の筋トレを行う

セルフマッサージとストレッチング

走った後は必ずストレッチを行うようにしましょう。

ストレッチ

走る前にストレッチやアップをする人は多いですが、走った後に何もしていない人が非常に多い印象です。

走る前のストレッチやアップは走る際のパフォーマンスを良くして怪我や慢性障害を防ぐ目的で行います。

走った後のケアはランニングによって負担がかかった筋肉の疲労回復や組織のリカバリーを効率良く行うために重要です。

走った後は、ふくらはぎ、ハムストリング、大腿四頭筋、お尻、腸腰筋などのストレッチを必ず行うようにしましょう。

ローラーやボールを使ったセルフマッサージは局所的な効果だけでなく全身的な効果も期待できます。

ローラーでのセルフケア

極端な話、走るだけ走って、走る前後にストレッチやマッサージを全く何もしていない場合、ランニングの前後にしっかりセルフケアを行うだけで腰痛が改善する場合も少なくないでしょう。

ランニング量の調整

ランニングは腰や膝などに大きな衝撃が加わるスポーツです。

毎日走っている人は、少なくとも週に1〜2回は走る時間を他のスポーツにあてるクロストレーニングに取り組みましょう。

(クロストレーニング…一つの種目だけでなく様々なスポーツ種目に取り組むこと。)

クロストレーニングで水泳を行う

水泳や自転車で有酸素運動を行い心拍機能を向上させたり、ウエイトトレーニングを行って筋量や筋力を向上させることは、腰を始めとした関節や筋肉への繰り返しの負担を減らすだけではなく、ランニングで負担の溜まっていた組織を休ませることに繋がり、結果的にランニングの能力が向上することも少なくありません。

クロストレーニングで自転車を行う

週に1〜3回走っている方で走っていると腰痛が出てくる場合は、走行距離の問題ではなく、走るペースが実力以上に早すぎたりランニングのフォームやランニングに必要となっている筋肉の柔軟性や筋力不足の可能性があります。

走れるようになってきても、いきなりペースを上げたり、走行距離を増やすのではなく、ペースや走行距離はキープしたまま、コアの筋肉のトレーニングや股関節のストレッチ、ランニングフォームの改善などに取り組むようにしましょう。

コア(腹筋群と臀筋群)のトレーニング

走るのに必要な筋肉は走ることによってつける。

確かにこの考え方は間違いではありません。

走ることによって脚の筋肉は鍛えられ、筋肉だけでなく腱などの組織も走ることに適した状態となってくるのは事実ですが、一方で走っている以外の日常生活の大半の時間で悪影響を受けている股関節の柔軟性やコアの筋肉の筋力は走っているだけでは改善しないのが事実です。

普段デスクワークで運動不足が気になるからランニングをするようになった方で、ランニング以外は全く運動をしていないような場合は最低限、腹直筋、腹横筋、多裂筋、大臀筋といったコアの部分の筋トレを始めましょう。

上記の筋肉はどれも器具を必要とせず、自宅で実施可能な種目で十分に鍛えることが可能です。

コアの筋肉トレーニング

間違ってはいけないのは、いくつかの腹筋の種目は腰痛を改善するどころか悪化させる可能性があるという点です。

仰向けで上体を何回も起こすシットアップや、脚を上げるレッグレイズといった種目は腰痛持ちの方は控えるようにしましょう。

推奨される腹筋運動推奨しない腹筋運動
クランチシットアップ
プランクドラゴンフラッグ

元々運動をしていた、もしくはしているランナーで上記のようなコアの筋トレが簡単に行える場合は、週に1回程度は走るのではなく、ダンベルやバーベルを握ったウエイトトレーニングを行いましょう。

ジムで行うバーベルスクワットやデッドリフトがおすすめではありますが、ブルガリアンスクワットやルーマニアンデッドリフトなら重たいバーベルなどは必要なく、ダンベルさえあればほとんどのレベルのランナーの脚力を鍛えることが可能です。

上記の種目は、他のどの種目よりも効率良く臀筋を始めとしたコアの筋肉を鍛えることが可能です。

これらの種目を週に1〜2回程度、2〜3ヶ月ランニングを並行して行うことで、多くの場合はランニング中の体幹の安定性が増し腰痛の改善が期待できるはずです。

もし、これらの種目に取り組んでコアの筋肉が強まったにも関わらずに、ランニング中やランニング後の腰痛に変化が見られないのであれば、病院や鍼灸院に足を運ぶ必要があるかと思います。

ランニングがきっかけとなって発症した腰痛に対する鍼治療

ここからはランニングでよくあるタイプの腰痛に対する実際の鍼治療について簡単に解説してきます。

それぞれの腰痛の詳細については、別の記事に譲りますが、ランニングがきっかけとなって出現した腰痛であれ日常生活が原因となって発症した腰痛であれ、基本的には鍼治療の内容は大きく異なりません。

ランナーに特に多くみられるのは、椎間関節性の腰痛と筋筋膜性の腰痛です。

椎間関節性腰痛

椎間関節性腰痛の場合は、損傷している(負担が集中している)椎間関節に直接鍼をするのに加えて、腰のインナーマッスルである、多裂筋、大腰筋と股関節の前側の筋肉である、小〜中臀筋や大腿筋膜張筋に鍼をします。

こちらの患者様の場合は立ち姿勢の際に痛みが出現する椎間関節性腰痛です。

電車の中で立ちっぱなしや、鞄を前に抱えて立っていると痛みが出現しており、腰痛と同時にお尻やハムストリングのエリアにまで痛みが広がっていましたが、3回続けて鍼治療を行うことで、痛みの程度頻度ともに大幅な軽減が得られました。

右の下部の椎間関節に鍼と電気鍼を行っています。

ランニングきっかけで発症した椎間関節性腰痛も、長時間の立ちっぱなしで出現してきた椎間関節性腰痛でも、痛んでいる椎間関節を特定して、その特定の部位に鍼をすれば基本的には良好な経過をたどります。

3〜5回前後の鍼治療で良好な経過を辿ることがほとんどですが、発症の原因となっているのは、腹筋を中心とした体幹の筋肉の弱さですので、腰痛の程度が軽減してきたタイミングでゆっくりとランニングを再開するのと同時に、体幹のトレーニングを行うことが重要です。

筋筋膜性腰痛

もう一つ、ランニングによる腰痛として多くみられるのが、筋筋膜性の腰痛です。

筋筋膜性腰痛は中腰や前屈みで重たい物を持ち上げた際に発症するような急性のタイプと、長時間同じ悪い姿勢を取り続けることによって発症するような慢性タイプと大きく二つに分類することができますが、ことランニングがきっかけとなって発症するのは後者の慢性的なタイプですので、ランニングにより慢性的に負担がかかり続けている脊柱起立筋の腰部を中心に鍼をします。

こちらも数回で痛みの程度などは気にならなくなる場合がほとんどですが、原因を改善しないことには、また走っていると腰に痛みを感じる場合がほとんどです。

長時間座りっぱなしの仕事をしている方の場合は、脊柱起立筋だけでなく腰の深層の大腰筋なども固まっていることが多いので、この部位に対する鍼治療や継続的なストレッチが必要となります。

大腰筋に対する鍼治療について深鍼治療の専門家が解説します

また、このタイプの腰痛を起こしている方は純粋にランニングの走行距離が非常に多く、オーバートレーニング兆候にある場合も少なくありませんので、場合によっては走る距離やペースなどに一旦ブレーキをかけて腰部にかかる負荷を調整する必要があります。

ランニングをすることで、腰の痛みだけでなく足の痺れなどが出現することはあまり多くはありませんが、そのような場合は、無理に走ることは禁物で、一旦ランニング自体を中断する必要があります。

元々背骨に変形がある中高年以降に起こり得ますが、一般的にはそれほど多いタイプのランニング腰痛ではありません。

ランニングによって出現するタイプの腰痛の多くは数回の鍼治療によってスムーズに軽快する場合がほとんどです。

しかし、これは原因が改善されたわけではなく、あくまでも『痛み』が改善されただけの状態ですので、最終的には痛みという現象だけではなくて、痛みを引き起こしている原因を改善する必要があります。

その原因は、この記事内で散々述べてきた通り、多くの場合は股関節の柔軟性不足とコアの部分の筋力不足なので、それぞれの状態を検査確認して、特に緊張して硬くなっている部位や弱い筋肉を見つけたら、それらを改善するように努力することが必要です。

豊中市でランニングによる腰痛でお困りなら

豊中市周辺でランニングによる腰痛でお困りなら、ほまれ鍼灸院にご相談ください。

ほまれ鍼灸院内装イメージ
ほまれ鍼灸院の施術前の検査の様子

ほまれ鍼灸院は西洋医学的な評価や治療法を実施している、スポーツによる怪我や慢性的な障害に強い鍼灸院です。

格闘技、競輪、競馬、ランニング、バレエ、ダンスなどプロアマ問わず、様々なスポーツに取り組んでいるアスリートの方にご来院いただいている鍼灸院です。

ランニングによる腰痛でお困りの場合、痛い場所だけを施術するのではなく、なぜ痛くなっているのか?原因となっている組織を評価特定して専門的な鍼治療を行います。

ランニング中やランニング後の腰痛が、セルフケアだけで改善しなくなった場合は、是非お気軽にご相談ください。

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院長の富本

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