ぎっくり腰に対する鍼灸治療 

ぎっくり腰に対する鍼治療
目次

院長の富本 翔太です

こんにちは、大阪府豊中市のほまれ鍼灸院の富本です。

今回のブログはぎっくり腰に対する鍼灸治療についてです。

ぎっくり腰は誰にでも起こりえる痛みです。

『鍼灸治療といえばぎっくり腰』といったイメージを持っている方も多いかと思います。

事実、当院に来院される患者様の症状で最も多いのもぎっくり腰です。

『重たい物を持ち上げた』などが一般的な原因ですが、中には『くしゃみをしただけでぎっくり腰になった』なんて人も少なくありません。

鍼灸治療は他のどの治療法よりもぎっくり腰に対して積極的な治療を行える方法です。

この記事では、当院で行なっているぎっくり腰に対する鍼灸治療について説明したいと思います。

ヘルニアや坐骨神経痛などの、その他の腰痛については腰痛に対する鍼灸治療をご参照ください。

ぎっくり腰の原因

ぎっくり腰では、腰がくの字に曲がってしまって背筋を伸ばすことが出来なくなってしまいます。

ぎっくり腰患者の典型的な姿勢

(↑ぎっくり腰患者の典型的な姿勢)

一口にぎっくり腰と言っても、大きく分けて3つの種類の痛みがあります。

  • 椎間関節性のぎっくり腰
  • 筋筋膜性のぎっくり腰
  • 大腰筋の過剰な緊張によるぎっくり腰

厳密には上記の3つ以外でも、ヘルニアの急性期などでもぎっくり腰に似ている腰〜下肢への痛みや痺れが出現しますが、鍼灸院に来院されるようなぎっくり腰であれば上記の3つの中のどれかがほとんどです。

腰の関節の捻挫…椎間関節性のぎっくり腰

腰の関節を捻挫してしまった状態が椎間関節性のぎっくり腰です。

腰の関節というとピンとこない人が多いかもしれませんが、腰にも関節があるので、無理な動作を頻繁に繰り返すなどをしていると痛めてしまうことも珍しくありません。

椎間関節性のぎっくり腰では以下の特徴が見られます。

椎間関節性のぎっくり腰の特徴

  • 腰を反らすと痛い
  • 背骨の際が痛い
  • 痛い場所がピンポイントでハッキリしている
  • お尻や太ももの外側あたりまで違和感がある

腰の下あたりにピンポイントの痛みを訴える場合が多く、腰を反らすように動かすと痛みが強くなるのが特徴です。

長時間立ちっぱなしで仕事をする人や、腰椎のすべり症などの既往歴を持っている人に見られやすいタイプのぎっくり腰です。

原因となっている椎間関節の部分に数回集中して鍼をすると速やかに痛みが消失する場合がほとんどです。

腰の筋肉の筋違え…筋筋膜性のぎっくり腰

背骨を支える脊柱起立筋が過剰に伸ばされてしまった結果、発症するのが筋筋膜性のぎっくり腰です。

・筋筋膜性のぎっくり腰の特徴

  • 背中と腰の境目くらいが痛い
  • 背骨から少し外側の部分に痛みがある
  • 腰を丸めようとすると痛い
  • 中腰姿勢でいることが多い

椎間関節性のぎっくり腰と同じく非常に多いタイプのぎっくり腰です。

中腰や前屈み姿勢を長時間続けることによって発症します。

椎間関節性のぎっくり腰と同じく、適切に治療すれば数回で治ります

大腰筋の過剰な緊張によるぎっくり腰

大腰筋の過剰な緊張で発症するぎっくり腰には以下の特徴が見られます。

・大腰筋性のぎっくり腰の特徴

  • 腰の奥の方が痛い
  • くしゃみをすると腰に響く
  • 痛い場所がいまいちハッキリわからない
  • お腹に痛みが出る
  • 脚に痺れや違和感が出る
  • 長時間座った状態で仕事をしている

ぎっくり腰の原因となる大腰筋

(青色の部分が大腰筋。)

股関節を曲げる筋肉である大腰筋は、長時間のデスクワークや運転などの座り姿勢によって慢性的に緊張している場合が多く、この姿勢から立ち上がろうとした際にこの筋肉に引き伸ばされる力が働くことによって激しい痛みが出現します。

大腰筋性のぎっくり腰がくしゃみによって痛みが出る理由

大腰筋は慢性的にぎっくり腰を繰り返す原因となる筋肉で、この筋肉が過剰に収縮していると座った状態から立ち上がる際や、くしゃみをした際に痛みが出現することが特徴です。

くしゃみでぎっくり腰?

くしゃみをするだけで何故ぎっくり腰になるの?

『くしゃみでぎっくり腰になるなんて不思議だ』と思う方もいるかもしれませんが、

これは大腰筋の走行について考えてみると理解できます。

大腰筋は腰骨の横から股関節に伸びている筋肉ですが、その始まりの部分で肋骨を介して横隔膜と連絡しています。

くしゃみでぎっくり腰が起こる理由

横隔膜は呼吸に関わる筋肉であり、くしゃみの際に急激に縮こまるので、横隔膜と連絡している大腰筋はこの影響を受けてしまうというわけですね。

このタイプのぎっくり腰であれば大腰筋に的確に刺激を与えることで早期の回復が見込めます。

以下の写真の赤丸部分が大腰筋に対する鍼治療の様子です。

大腰筋への鍼治療は長い鍼を使用します

大腰筋は腰の表面から6センチ先にある深層の筋肉なので、3寸(9センチ)の鍼を使用して深部まで刺激を届かせています。

また、大腰筋の間には、脚に向かう神経である腰神経叢が存在している為、大腰筋が非常に緊張している場合は、この筋肉に鍼をした際に、脚に重だるいような鈍痛が出現することがあります。

ぎっくり腰を繰り返している人は、普段から腰だけでなく、お尻や太ももの前や外側に鈍痛を感じている場合が多いですが、これは腰神経叢が大腰筋の緊張によって圧迫されることによって生じている痛みです。

これらの症状は大腰筋への鍼治療を継続して行うことによって改善する場合が多く、慢性的な腰痛持ちの方や、ぎっくり腰を何度も何度も繰り返している人には非常に有効な鍼治療の方法となります。

大腰筋に対する鍼治療について深鍼治療の専門家が解説します

裏を返せば、体表から最低でも6センチ先にある大腰筋に的確に刺激を入れるには鍼治療以外に有効な方法がありませんので、いくら表面の筋肉をマッサージなどでほぐしたりしても充分な効果を期待することはできません。

ぎっくり腰に対する実際の鍼治療

ぎっくり腰で来院された患者さんに対する実際の鍼治療の様子は以下の記事でまとめています。

重たい物を持ち上げた際に発生したぎっくり腰

介護職に従事されて、重たい物や人を持ち上げる仕事をされている人に発症したぎっくり腰の治療経過の様子です。

ぎっくり腰に対する鍼治療の実際例『50代女性介護職員』

腰だけでなく脚に痛みや痺れが出る場合もありますが、適切に鍼をすれば短期間で改善します。

長時間立ちっぱなしの作業によるぎっくり腰

60代女性の繰り返すぎっくり腰に対する鍼治療の様子

↑年に2回のぎっくり腰を毎年繰り返しており、20回以上ぎっくり腰を繰り返している60代の女性に対する鍼治療の様子です。

何度もぎっくり腰を繰り返している場合、根本的に改善するにはある程度の治療回数が必要となりますが、数回繰り返し治療すれば、早期の痛みの改善が可能です。

中腰作業によるぎっくり腰

20代の男性タイマッサージ師のぎっくり腰に対する鍼治療の実際

↑人生で初めてのぎっくり腰を経験した20代の男性に対する鍼治療の様子です。

タイマッサージの仕事を行っており、慢性的な腰痛を抱えていたようですが、ぎっくり腰は人生で初めてのようです。

鍼に対して非常に恐怖を感じていましたが、友人からぎっくり腰には鍼が良いと聞いて来院されました。

1回の治療で痛みは大幅に軽減し、2回で治療終了となっています。

デスクワークによるぎっくり腰

こちらも同じく20代の男性のぎっくり腰に対する鍼治療の様子です。

腰方形筋のぎっくり腰に対する鍼治療の実際

腰の深部に存在する腰方形筋に鍼をしたところ、一回の治療で非常に大きな効果が得られました。

デスクワークで長時間座りっぱなしの人はぎっくり腰を非常に発症しやすいです。

こちらの患者さんも、非常に鍼を怖がっていたので、刺激量を加減して実施しましたが、充分改善が見られ数回で治療終了しています。

ぎっくり腰は日々の生活によって作られている。

さて、ここまでぎっくり腰への鍼治療について、ぎっくり腰のタイプ別に説明してきましたが、この辺りで一度、『そもそも何故人はぎっくり腰になるのか?』について考えてみましょう。

毎年ぎっくり腰になる

毎年同じ時期にぎっくり腰になる。。

繰り返すぎっくり腰

これまでに何十回もぎっくり腰を繰り返している。

このような人は決して少なくありません。

ぎっくり腰の痛みを取るには鍼治療が一番ですが、そもそも何故毎度毎度ぎっくり腰になっているのかの原因から対策する必要があります。

ぎっくり腰とは愛称であり、正式には急性腰痛症と名前がついています。

この診断名から想像できるように、『ぎっくり腰は急になるものだ』と理解している人が多いかと思いますが、ちょっとよく考えてみてください。

果たして本当にそうでしょうか?

最終的にぎっくり腰になったのは、重たい物を持ち上げたり、急激に体を捻ったりといった、瞬間的に腰に強い負荷がかかった事が原因ではありますが、実は多くの場合、ぎっくり腰を繰り返している人のほとんどが、無意識のうちに日常生活上で腰に負荷をかけ続けています。

ぎっくり腰になった日の数日〜数週間前のことを何となく思い出してみてください。

  • デスクワークや運転で一日中座りっぱなしだったり。
  • 多忙による残業続きで睡眠不足だったり。
  • 飲み会続きで食生活が乱れていたり。
  • 忙しくて運動できていなかったり。

これらはぎっくり腰を繰り返し発症する人に共通する典型的な生活習慣ですが、皆さんも当てはまっている部分があるのではないでしょうか?

普段から気づかないうちに、腰に対しての負荷を溜め続けてしまっている場合がほとんどです。

ぎっくり腰を発症した日は、もうバケツに水がなみなみに溜まっている状態(腰に負担が溜まりすぎている)で、後一つ何かきっかけがあったらバケツから水が溢れてしまう状態(痛みが出る)だったという方が非常に多い印象を受けます。

普段の生活習慣によってぎっくり腰は発生する。

病は外邪(外からの影響)と内邪(自分の中の問題)の2つが合わさった時に発症すると言われています。

ぎっくり腰は冬に多いことで有名です。

それは施術者として長年この仕事に携わってきた私自身の経験と照らし合わせても間違いないかと思いますが、ちょうど冬は社会人の多くが多忙であり、飲み会シーズンで食生活が乱れ、多忙が故に、睡眠時間が減少している時期ですね。

多忙による疲れ

当然運動できる時間も減っているでしょう。

そんな風に内因が溜まりに溜まっている状態で、急激な気候の変化などの寒さ、つまり外邪の影響を受けると一体どうでしょう?

些細な負担であっても腰にビキッと痛みが走るのも想像に難しくないでしょう。

そう考えると、ぎっくり腰は決して急性の痛みと断言するのが難しいのではないかと思う次第です。

バケツに水が溜まる前に治療を行うことが大切です。

豊中市でぎっくり腰に対する鍼治療ならほまれ鍼灸院へ

痛みとはある種、身体からの警告です。

脳が、今の生活習慣だったり身体の使い方が間違っているといった合図を『痛み』という感覚を通じて私たちに知らせてくれています。

本来は痛みが出る前に定期的なケアをするのが大切ですが、ピキッと腰に痛みや電気が走った場合は、鍼灸治療が最もお勧めです。

豊中市のほまれ鍼灸院では深鍼の専門的な研修を受けた鍼灸師のみが鍼灸治療を担当します。

ほまれ鍼灸院

専門的な響く鍼治療に加えて、微弱電流機器を用いて、傷んでいる組織の修復の回復を早めることが可能です。

整形外科での勤務歴のある鍼灸師がエビデンスに基づいた鍼灸治療を行います。

大腰筋への鍼治療などは、どこの鍼灸院でも受けられる手法ではなく、全国でも限られた数の鍼灸院でのみ行われている治療です。

豊中市でぎっくり腰でお悩みの方は是非一度ご相談ください。

当院で専門的に行なっている深鍼については鍼を深く刺す深鍼治療の効果と安全性についてをご参照ください。

また、ぎっくり腰以外の慢性腰痛や坐骨神経痛などに対する鍼灸治療については腰痛に対する鍼灸治療をご参照ください。

ほまれ鍼灸接骨院院長 富本 翔太

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