こんにちは、豊中市のほまれ鍼灸院の富本です。
今回はタイトルにもあるように大腰筋に対する鍼治療について解説したいと思います。
ぎっくり腰から慢性腰痛〜坐骨神経痛まで、多くの腰痛の原因になる大腰筋。
長時間のデスクワークが代表的な原因の一つですが、現代人の大腰筋は、ほとんどの場合でカチカチに固まっています。
大腰筋は皮膚表面から少なくとも6センチ先に存在しているインナーマッスルですので、マッサージやストレッチといった手技でのアプローチでは直接刺激を入れることができず、一般的な鍼灸院で使用されるような長さの鍼でも刺激を届かせることができません。
長い鍼を用いた深鍼治療でのみ直接刺激を加えることが可能です。
大腰筋への鍼治療は慢性腰痛に非常に効果的な治療です。
この記事では、大腰筋への鍼治療に関する以下のようなあらゆる疑問について、深鍼治療の専門家がわかりやすく解説します。
大腰筋への鍼治療は自分の腰痛に効くのか?
大腰筋への鍼治療を受けてみたいけど安全なのか不安。。
この記事では、大腰筋への鍼治療に関するあらゆる疑問について、深鍼治療の専門家がわかりやすく解説します。
大腰筋に対する鍼治療に興味はある方は是非最後までお読みください。
Table of Contents
大腰筋への鍼治療が効果的な腰痛
大腰筋への鍼治療は様々なタイプの腰痛に効果が期待できますが、
特に即効性ある効果が期待できるのが以下のタイプの腰痛です。
- ぎっくり腰
- 慢性腰痛
- 坐骨神経痛
- 脊柱管狭窄症
- 筋筋膜性腰痛
非常に多くのタイプの腰痛に効果的な大腰筋への鍼治療ですが、骨や軟骨が変形して、それによって痛みが出現している腰痛には効果が得られにくくなっています。
代表的なところで言えば、脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどがそれにあたります。
実際のところ、レントゲンなどの画像検査上、狭窄症やヘルニアと診断された場合であっても、痛み自体は他の組織から出ている場合も少なくありませんので、これらの症状の患者に対しても大腰筋への鍼治療を行うことによって症状の改善が得られる場合も多いですが、分類的には筋肉や腱、神経といった軟部組織が痛みの原因となるタイプの腰痛に効果的だと考えられています。
診断名で分類すると上記のようになりますが、多くの場合、診断名はあくまでも一つの参考にしかならない場合もありますので、実際に現れている症状(痛みが出る動作)で分類すると、以下のような特徴のある腰痛に対して、大腰筋への鍼治療は高い効果を期待できます。
- 座っている状態から立ち上がる際に痛い
- ずっと座っていると腰がだるくなってくる
- 朝起きた時に腰が痛い
- くしゃみをすると腰に響く
- 腰だけでなく、お尻や脚の外側に痺れなどがある
- ぎっくり腰を何度も繰り返している
座っている状態から立ち上がる際に痛い
大腰筋は股関節を曲げる役割を持ちます。
デスクワークなどで長時間座っている際、股関節はずっと曲がった状態ですので、大腰筋は縮こまったポジションになっています。
筋肉は長時間同じ姿勢でいることで、硬くなってしまいますので、この姿勢を長時間続けると、大腰筋が縮こまってしまうのですが、その姿勢から立ち上がる(=股関節を伸ばす)と、縮こまっている大腰筋に対して強いストレッチの刺激が加わることによって痛みが出現します。
くしゃみをすると腰に響く
大腰筋は縦に長い筋肉で、横隔膜から大腿骨を繋いでいます。
横隔膜は呼吸に関わる筋肉で、くしゃみをする際に強烈に伸び縮みをすることから、大腰筋が過度に緊張している場合、くしゃみをする行為によって横隔膜から大腰筋に過剰な伸張刺激が加わることになってしまい、腰に激痛が走ることがあります。
くしゃみをすると腰が抜けそうになるといった症状は大腰筋性のぎっくり腰を繰り返している人によく起こる典型的な症状の一つです。
お尻や脚の外側に痺れなどがある
大腰筋と周囲の筋肉の間を腰神経叢(ようしんけいそう)が走ります。
腰神経叢は足に向かう神経の配電盤のようなもので、この位置から脚のそれぞれの神経が分岐していきます。
大腰筋が過度に緊張することによって、腰神経叢の枝を圧迫してしまい、鼠蹊部や脚などに痺れや違和感などが出現する場合があります。
特に多く見られるのが、太ももの外側を支配する外側大腿皮神経の絞扼です。
ズボンやベルトの圧迫によっても発症しやすいこの症状ですが、大腰筋の硬さによっても出現します。
外側大腿皮神経炎に対する鍼治療については、外側大腿皮神経炎に対する鍼治療をご参照ください。
どんな鍼を使用するのか?
先述したように、大腰筋は腰の深部に存在するため、直接刺激をする為には、ある程度の長さの鍼が必要になります。
当院の場合は、普通体型の男性の場合は9センチの鍼を、痩せ型の男子や女性には7.5センチを使用する場合がほとんどです。
痩せ型の女性であっても、大腰筋へ鍼を到達させるには6センチの深さの刺激が必要だったという報告もあることから、最低でも6センチ以上の鍼が必要となります。
こちらは一般的な長さの鍼(5センチ)と9センチの鍼を比較した写真です。
長い鍼を使用すると聞くと、それだけで危険な印象を抱く人も多いかと思いますが、決してそんなことはありません。
深鍼治療の効果と安全性については別の記事で解説していますので、詳しくは鍼を深く刺す深鍼治療の効果と安全性についてをご参照ください。
大腰筋への鍼治療は痛いのか?
大腰筋への鍼治療を受けてみるか検討されている方に、
そんなに長い鍼を使って治療するなんて、大腰筋への鍼治療って痛くないんですか?
とよく聞かれます。
結論から言うと、大腰筋への鍼治療は痛いです。
深部で凝り固まっている筋肉を鍼で直接刺激するわけですから、それなりの刺激がある鍼治療となります。
ただし、厳密に言うと、決して注射鍼のような痛みがあるわけではなく、ズシンと響くような感覚であることが特徴です。
ズシンと重だるいような感覚が腰から脚にかけて現れるのが特徴で、大腰筋の緊張によって腰痛が出ている人の場合は、大腰筋に鍼が到達した際は普段の腰痛が再現されるような感覚も表れます。
どれくらいの治療回数が必要なのか?
こちらは当院で実際に行っている慢性腰痛に対する鍼治療の実際の様子です。
大腰筋に加えて、多裂筋、腰方形筋、中臀筋に鍼を行なっています。
大腰筋には9センチの鍼を使用しています。
10年来の慢性腰痛に悩まされている患者さんで、長時間座っていた後に立ちあがろうとすると、腰の深部に痛みが出たり、鼠蹊部のあたりに痛みが出る典型的な大腰筋性の慢性腰痛をお持ちの患者さんで定期的に大腰筋への鍼治療を受けに来院されています。
大腰筋へ鍼をするとズシンと響く感覚が出たり、普段の腰痛が再現される感覚が出たり、一般的にイメージされる鍼治療とは違った感覚が出る鍼治療ですが、その分、浅い部分に少し鍼をする鍼灸治療とは全く異なる効果が期待できます。
治療回数は目安として、大体5〜10回程度の治療が必要です。
急性のぎっくり腰の場合はそれよりも少ない回数で効果が現れる場合がほとんどで、慢性の期間が長ければ長いほど必要な治療回数や治療期間も増える傾向にあります。
完治までにはそれなりの期間が必要ですが、様々な治療を受けた結果、最も効果を感じられるといって継続して治療を受けられる方が非常に多いのが大腰筋への鍼治療の特徴です。
大腰筋への鍼治療を受けるなら
当院は大腰筋への鍼治療を中心に深鍼治療を専門的に行っている鍼灸院です。
ぎっくり腰〜慢性腰痛、坐骨神経痛、首肩こり、頭痛といった症状の方が多く来院されている鍼灸院です。
慢性的な腰痛に悩まされていて、大腰筋への鍼治療を試してみようか検討しているなら、ぜひ一度ご連絡ください。