北京堂総本山で北京堂創始者の淺野周先生の鍼治療を受けてきた件。

北京堂鍼灸院見学日記
目次

※2023年11月の記事です。

※基本的に鍼灸師向けの記事ですが、一般の方が読んでも面白いかと思います。

こんにちは、大阪府豊中市ほまれ鍼灸接骨院の富本です。

いきなりですが、皆さん北京堂鍼灸院ってご存知ですか?

鍼灸師であれば知っている人も多いかもしれませんが、一応念の為、知らない人や一般の患者様向けに説明すると、北京堂は全国に支店を持つ鍼灸院です。

北京堂の正面玄関

全国に支店を持つといっても、いわゆるグループ会社や暖簾分けといった形式ではなく、北京堂創始者の淺野周先生の元で一定の期間修行した鍼灸師が、各地の地元などでその名を引き継ぎ、それぞれで開業しているといったスタイルの鍼灸院です。

長くて太い鍼を用いた大腰筋や腸骨筋への鍼治療などでどこへ行っても治らなかった慢性的な肩こりや腰痛といった手強い疾患の治療を行う業界では知る人ぞ知る有名な鍼灸院です。

大腰筋に対する鍼治療

筆者は北京堂創始者である淺野先生の一番弟子の中野先生が院長を務める、神戸の二天堂鍼灸院の主催する勉強会に参加した後、正式に弟子入りし、その技術を教わりました。

勉強会では、毎月2回北京堂特有の長い鍼を用いた深鍼の治療をやってやられてを繰り返すのですが、勉強会を通じて鍼を受けているだけでも、自分自身が慢性的に抱えていた腰痛がいつからか気にならないくらいに改善されるようになっていることから、色々な流派がある鍼治療の中でもこの方法は凄いと思い、是非一度北京堂創始者である淺野先生本人から、中国式の『痛いけど本当に効く鍼』を打ってみてもらいたいと思い、今回平日の休みを使って弾丸で大阪から埼玉へと向かいました。

目的地は北京堂の総本山、埼玉県の上福岡駅です。

痛いけどよく効く鍼治療

大阪から夜行バスに揺られること約9時間。

最初の目的地である東京市、そのまま埼玉方面へ向かい、最寄駅である上福岡駅に着きました。

上福岡駅が北京堂の最寄駅

北京堂埼玉はここから歩いて約10分ほどの住宅街の一角にありました。

16時半から予約していたのですが、見学も同時に許可を得たので15時前に到着し、そこから1時間弱見学させていただきました。

ど平日の真っ昼間ということもあり、見学できるような他の患者さんがいるのかどうか疑問でしたが、その心配は杞憂に終わりました。

筆者が到着した15時の時点ですでにベッドはいっぱいで、1人終わったらまた1人とどんどん患者さんが来ます。

また、自分以外にすでに他の見学者が数人いたことにも驚きました。

そのうちの1人は話を聞いてみると、なんと静岡から毎週泊まり込みで見学に来ているとのこと。

衝撃です。

自分で言うのもなんですが、筆者もここに来ることだけを目的に、わざわざ大阪から時間とお金を使って来ているのですが、日本に他にこんな鍼灸院があるのでしょうか。

そんなことに驚きを隠せず圧倒されているうちにもどんどん他の患者さんが来るので、見学させてもらいます。

患者さんは見学されることに慣れているのか数人に囲まれながら鍼をされていますが特に気にするような素振りもありません。

鍼が刺さっている部位の写真撮影にも協力的で大変感謝です。

淺野先生の一挙手一投足を真剣に眺める鍼灸師と鍼灸師の卵がそこにいました。

刺しながらもひたすら喋っている淺野先生ですが、施術の進め方は流れるほど丁寧かつ、患者の様子を見る限りめちゃくちゃ響いている様子です。

また、この日見た全員の患者さんが『他のどの治療院よりも圧倒的に効果がある』と口を揃えて言っており、たった1時間弱の見学時間でしたが、想像していた以上の実態にこれまた驚きを隠せず最後には開いた口が塞がらないような状態になってしまうほどでした。

そんなこんなで、見学の時間があっという間に終わり、いよいよ私自身の予約時間です。

慢性的な腰痛に対して鍼を行なっていただくことに。

検査は非常に簡易的でした。

問診でいうと、いわゆる整形外科テストのようなものは行わず患者が最も苦痛を感じる部位と動作について質問する程度です。

その後ベッドに寝かされて腰の湾曲を確認し、いくつかの筋肉の圧痛を確認したら治療スタート。

治療は下から上に向かって夾脊(きょうせき)を打っていくことから始まりました。

夾脊は背骨の両側のキワのことで、筋肉でいうと固有背筋に対する鍼になります。

腰痛持ちの人間で大腰筋にそこまで問題ない方はいるかもしれませんが、固有背筋に全く問題がない人はほとんどいないことから、腰痛治療において非常に重要なポイントです。

北京堂式の夾脊は全て鍼の先を骨に当てるようにされるので、この時点でバンバン響いてくる鍼が沢山あります。

夾脊の次は大腰筋に移ります。

大腰筋への鍼治療こそ北京堂の1番の代名詞かもしれません。

筆者は北京堂系列の院で大腰筋への鍼治療を受けたことがあり、その響き感を知っていることから怯みはしませんでしたが、それでもなかなかに響きます。

夾脊よりやや外方にズラしたラインに打つのと、そこからさらに外側から斜刺で打つ刺激を加えられ、今まで受けていた大腰筋への鍼治療は一体何だったのかと悶絶します。

『うぅ』とか『うおっ』と言っている筆者にお構いなく、施術はどんどん進んでいき、側面から腰方形筋を狙い撃ちされ万事休す。

そこからはもうどこの鍼がどこに響いているかもわからないくらい、臀部の鍼、対側の腰の鍼を打たれている際もずっと腰から大腿部前面〜下腿前面にかけて重だるい感じが続き、やっと打ち終わったと思ったらそこから35分間の置鍼に入ります。

北京堂式の腰痛治療を上から見た図

この間もずっと響いています。

一般的な鍼治療における置鍼なんて患者にとってそんなに辛いことではありませんが、北京堂式は違います。

もはや苦行と言っても過言ではないくらいでバチバチに響き続けている鍼をこのまま30分以上味わうのか、、、と思っていましたが、10分くらい経つと慣れてきました。

ズーンと響いている感じも薄れてきて、15分くらい経つ頃には刺さっていることがわからないくらいになってきました。

北京堂式の鍼治療を横から見た図

ただ、大量に鍼が刺さっていることは間違いないことから、くしゃみをしたり動いたりすることができないので、その点はなかなか辛く感じます。

なんとか我慢しているうちに35分の置鍼時間が終了し抜いてもらいました。

鍼を抜いてくれたのはお弟子さんでしたが、特に抜く際の痛みもなく無事治療が終了。

流石にこれだけの強刺激ですから、抜いた直後の効果確認としてはわかりません。

というよりも、逆に前屈みがしにくくなっていて靴を履くのが大変でした。

全部抜かれてはいますが、まだ刺さっているかのような重だるい感覚が腰から骨盤あたりに残っており、前屈みをしようとしてもできないくらいです。

この点については、淺野先生の書籍に鍼の効果は3日後に出てくると記載されていたので、効いてくるのを楽しみに帰路につきました。

治療後の経過

当日

3日後に効いてくるということなので、長い目で効果を判断しようと考えていたのですが、院を出て駅まで歩いている際、明らかに自分の骨盤が立っていることに気づきます。

腰がすっと伸びていて歩きやすいような感覚です。

10分くらい歩いて駅に到着する頃には、まだ鍼の後の違和感は残っているものの、施術前に感じていた立ちっぱなしでいると痛みが出てくる症状がなくなっていることに気づきます。

この時はまだ終わってから1時間弱ですが、明らかに腰が軽くなっている感覚がすでにありました。

その後新幹線に乗って大阪に帰阪しましたが、新幹線のシートに座っている際も常に骨盤が立っているかのような感覚があり、腰に重い感じやだるい感じといった不快感が全くありません。

2時間半が経過し、新大阪に到着する頃には鍼の鈍痛や違和感もだいぶ少なくなってきていましたが、それでもやはり筋肉痛のような感覚が残っています。

前屈みをすると、まだ刺さっていたところにアイテテテといった感覚があります。

例えるならデッドリフトをした後のような感覚で、胸腰筋膜の辺りが非常に張っているような感覚といえばよいでしょうか。

ただ、皆さんご存知の通り、筋肉痛は別に悪いことでもなく、体感としても不快には感じなかったので、個人的には特に問題ないと思いました。

仕事終わりに夜行バスで東京へ向かい、北京堂が終わったらそのまま東京へ移動し新幹線で大阪に帰ってくるというなかなか無茶なスケジュールを組んでクタクタだったこともあり、この日は帰宅して即就寝。

鍼を受けたこともあって眠くなり9時間ほど熟睡しました。

2日目

2日目の朝になっても、まだ腰が伸びていて骨盤が立っているかのような感覚が残っています。

なんと言いますか、スッと立てているというか背筋が伸びていると言えばいいのか、適切な言葉が見つかりませんが、明らかに腰の調子が良いです。

普段は前屈みで洗顔をしたり、子供を抱っこすると腰にジワーっとした鈍痛を感じるのですが、施術を受けて2日目の現在、普段感じている腰痛誘発動作が全く苦ではありません。

この日は一日仕事でデスクワーク、立ち仕事どちらの作業様式も行いましたが、座り続けていても立ち続けていても腰に負担がかかるような感覚が全くなく、明らかに調子が良いです。

昨日の就寝前の時点でかなり良くなっている感覚がありましたが、一晩経って考えてみると2日目の今は昨日よりも明らかに調子が良くなっています。

この日の夜くらいから鍼による筋肉痛も薄れてきて、施術後の違和感なども完全に抜けた感覚がありました。

3日目

そして3日目の現在ですが、今日の腰の状態はここ数年で比較にならないレベルで絶好調です。

鍼の後の筋肉痛や違和感も完全に無くなり、動作がスムーズになっただけでなく、相変わらず腰骨盤共に伸びており、いつもの痛みが出る動作を行ってみても何一つ腰に痛みや違和感が出る感覚もありません。

正直当日から結構な効果を感じていましたが、宣言通り3日目になってここまで腰の調子がよくなっているのには驚きを隠せません。

病院に行くとよく聞かれることですが、痛みを10段階の数字で表すとしたら、施術後3日経った今は10段抜きで痛みは0です。

筆者は大阪生まれ大阪育ちであることから、何かを評価したり自慢したりする際、ついつい盛って話をする癖があるのですが、今回の鍼治療の効果に関しては、本当に心の底から一切の盛りなく正直な感想として、今まで受けてきた治療の中でダントツ一番の効果を感じます。

正直一回限りの治療でここまで良くなることを想像していなかったことから驚きを隠せませんが、北京堂、やっぱり間違いなく本物です。

本物の技術がそこにはありました。

最後に

治療が本当に痛いので、治療を受けていた際は受けにきたのを後悔したほどでしたが、結果としてここまで良くなるのなら、全然我慢できるレベルです。

実際、痛いといえば痛いのですが、チクッとした鋭い痛みではなく、ズーンと響くような鍼特有の痛みですので、どちらかというと『痛い』というよりも『効いている』という感覚の方が近いです。

鍼治療は痛いのか?鍼灸治療の痛みと響きについて説明します。

昨今は『痛くない鍼治療』や『熱くない灸治療』といった謳い文句で集客している院が多いようですが、そんな鍼治療本当に効くのでしょうか?

本当に効くならそれで良いですが、痛くはないけれど効果もないといったような、よくわからない治療を受け続けている患者も世の中には多くいるのではないかと思います。

『背に腹はかえられぬ』という言葉がありますね。

北京堂に来る患者さんは皆他では治らなかった、いってみれば患者レベルMAXの猛者ばかりです。

それもそのはず、北京堂のHPは業者に外注したようなものでもなく、院の場所も決して駅前のわかりやすい一等地でもなく、ポータルサイトに金を払って情報を載せている訳でもありませんから、患者が最初に選ぶ治療院ではないでしょう。

患者は大体ネットで調べた結果、上位表示されるような院に行くことになりますが、そこで症状が治らず、治らないばかりか、時に悪化したり、治らないまま引きずることで、それによる他の症状に苦しめられたりするような過程を経て、他の治療院を探した結果として北京堂のような治療院にたどり着きます。

そんな治療院は時間とお金の無駄ですから最初から選ばないようにしたいところです。

治療院選びのポイントについては以下の記事をどうぞ。

鍼灸整骨院の選び方『やめた方がいい鍼灸整骨院の特徴6選』

そんな状態ですから、体はもちろんのこと、心までボロボロになっている人も少なくないでしょうから、この症状が少しでも治るのならといった心持ちで、多少響きが強かったり痛みがあったとて信じて治療を続けてくれるでしょう。

どこに行っても治らないような、どうしようもない症状がある場合は、どれだけ遠くても行ってみる価値大アリの鍼灸治療院がそこにはありました。

当院でも長い鍼を用いた大腰筋への鍼治療を中心とした深鍼での治療を行なっています。

北京堂鍼灸院の本院や私の師匠である二天堂鍼灸院と比べると、まだまだ足元にも及びませんが、それでも日々鍼灸師仲間と研鑽に励み、多くの患者様の治療にあたらせていただいています。

大阪府豊中市で鍼灸院をお探しの方は是非一度ご相談していただければ幸いです。

ほまれ鍼灸接骨院 院長 富本翔太

ほまれ鍼灸接骨院院長 富本 翔太

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