こんにちは、大阪府豊中市のほまれ鍼灸院の富本です。
いきなりですが、あなたは深鍼治療という言葉を聞いたことがありますか?
その名の通り、鍼を深く刺す鍼灸治療の方法で、ぎっくり腰や慢性的な腰痛、肩こり、頭痛といった多くの症状に対して効果が期待できる治療です。
非常に効果が高い治療法ではありますが、鍼を深く刺すと聞くと、
どのくらい深く刺すの?
鍼を深く刺して本当に安全なの?
そもそもなぜ深く刺す必要があるの?
といった様に、どうしても様々な疑問が生じますよね。
これらの疑問を解決できるよう、今回は当院が専門的に行なっている長い鍼を用いて鍼を深い部分にまで刺す『深鍼治療』の効果と安全性、目的などについて詳しくまとめたいと思います。
この記事を読めば、深く鍼を刺す深鍼治療の効果と目的について全て分かりますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
深鍼治療で効果が期待できる症状
効果が期待できる症状は以下の通りです。
- ぎっくり腰
- ぎっくり背中
- 寝違え
- 腰下肢痛(痺れ)
- 寝違え
- 肩こり
- 頭痛
急性から慢性まで幅広い症状に対して効果が期待できるのが深鍼治療です。
鍼治療が腰痛に効くと耳にして近くの鍼灸院に行ったものの、あまり改善しなかった。。
このような人は決して少なくないと思います。
それは、決して鍼灸治療が効果がなかったわけではなく、その鍼灸院の鍼治療の手法があなたの症状に対して合っていなかっただけかもしれません。
というのも、鍼灸治療には非常に沢山の流派があって、一口に鍼灸治療と言っても、A鍼灸院とB鍼灸院では行っている治療が全く違う場合があるからです。
特に下記のような特徴のある痛みの場合は、原因が深部に存在する筋肉にあるため、一般的な鍼灸院で行われる浅い部分への、ごく軽い刺激の鍼治療では効果が見られない場合がほとんどです。
深層の筋肉の緊張による痛みの特徴
- 痛みが出てから期間が経っている
- 痛い場所がはっきりわからない
- 何度も何度もその痛みを繰り返している
この3つは痛みを引き起こしている組織が深部に存在する場合の代表的な特徴ですので、あなたの痛みがこれらの特徴に当てはまる場合は深鍼治療の効果が期待できる可能性があります。
なぜ鍼を深く刺すの?深く刺す効果と目的
鍼を深く刺す理由は、痛みを引き起こしている原因が深部に存在しているからです。
原因が奥の方に存在するから長い鍼を用いて深部を刺激する。
至極当然。深鍼治療の目的は非常にシンプルです。
例えば深鍼治療で効果が期待できる代表的な症状である『ぎっくり腰』
ぎっくり腰は、腰の深部に存在する大腰筋が何らかの原因によって過度に緊張した結果として発症します。
大腰筋は痩せている女性で腰の表面から6センチ先にあるといった報告がされていることからもわかるように、深部に存在する筋肉です。
この筋肉に鍼の刺激を届かせるためには、一般的な鍼灸院でよく用いられる3センチや4センチの鍼では刺激が届きません。
大腰筋に刺激を入れるためには必然的に長い鍼を使用する深鍼治療を行う必要があります。
深鍼治療の効果が期待できる、もう一つの代表的な症状が肩こりです。
肩こりも、慢性的に悩まされている人は、コリが表面の筋肉だけでなく深部の筋肉にまで及んでおり、表面の筋肉にマッサージをしたり鍼をするだけでは、その場で少し楽になる程度で数日経ったら元通りといった人も少なくありません。
慢性的な肩こりではコリが背骨付近の深部の筋肉にまで及んでいることが多いことから、長い鍼を用いて背骨周囲の筋肉の緊張を緩めることで深部のコリがほぐれます。
どのくらい深く刺すの?
一口に深鍼治療と言っても、患者さんの性別や年齢、体型によって使用する鍼の長さは異なります。
先ほど例に挙げた、深鍼治療の代表例である大腰筋への鍼治療では、女性や痩せている男性なら7,5センチの鍼を使用し、一般的な体型の男性なら9センチの鍼を使用します。
以下の写真は実際に当院で使用している鍼です。
上に写っている鍼が一般的な鍼灸院でも用いられる5センチの鍼で、下に写っているのが9センチの鍼です。
(一般的な鍼灸院では3センチや4センチの鍼が中心で5センチの鍼を使うことも珍しいです。)
先述したように、大腰筋に鍼をしようと思った場合は、最低でも6センチ以上の鍼を使用する必要があり、この場合だと上に写っている5センチの鍼では大腰筋に鍼が届きません。
また、鍼は指で掴む部分を鍼柄(しんぺい)、体内に刺入する部分を鍼体(しんたい)と呼びますが、治療の際に鍼体を全て刺入すると、患者さんの咳やくしゃみ、不意な体動などによって鍼が折れる可能性があるので、6センチ先の筋肉を狙う場合であっても、それ以上に長い鍼を使用します。
体格の良い男性の場合は、大腰筋が体表からさらに先に位置することから、10センチ以上の鍼を使用する場合もあります。
深鍼治療は痛いの?
これも深鍼治療に対するよくある疑問の一つです。
鍼治療と聞くだけでも痛そうなのに、さらに鍼を深く刺すなんて、、、
深鍼治療と聞いて、痛そうなイメージを持たれる方も多いかと思いですが、実のところ、
鍼を刺す際のチクッとした痛み自体は、鍼を浅く刺そうが深く刺そうが変わりません。
鍼が皮膚を貫く際にチクッとした痛みが出現する可能性があるので、皮膚を貫いてしまえば、鍼を刺す深さによっては特に痛みの程度は変わりません。
ただし、鍼を深く刺すことによって、ズーンとするような鍼治療特有の響きの感覚は非常に出やすくなります。
一般的に日本の鍼治療では治療中の鍼の響きを良くない感覚と見なしている人が多いのですが、深鍼治療では響きの感覚を重視しており『響きがある=効果がある』と考えていることから、鍼の響きの感覚が苦手な人からすると痛いと感じる場合が多いかと思います。
ただし、厳密に言えば鍼の響きは痛みとは違う感覚です。
慣れていない人は痛いと感じますが、慣れている人や響きの感覚が好きな人からすると痛いとは感じません。
鍼治療の痛みと響きの関係については鍼治療は痛いのか?鍼灸治療の痛みと響きの感覚についてをご参照ください。
深く刺して安全なの?
深鍼治療の効果や目的がわかり、自分自身の症状に効果がありそうであれば受けてみたいと思う人も多いでしょうが、いくら効果があると言われたところで、やはり一番気になるのが安全面かと思います。
そんなに鍼を刺して本当に安全なの?
『9センチの鍼を使用する』なんて効くと、本当に安全なのかどうか不安に思う方もいるかと思いますが、深鍼治療は名前の印象とは違って非常に安全な鍼治療の方法の一つです。
例えば、肩こりに対して深鍼治療を行う場合。
背骨周辺の深部に存在する筋肉に対して鍼を行いますが、この際、鍼の先端は必ず骨に当てるように治療を行います。
骨に鍼を当てることによって鍼はそれ以上進むことができなくなるので、それ以上の深部の組織に傷をつけることがありません。
また鍼の先端が骨に当たっていることによって、不意な体動などが起こった際でも鍼が他の方向に動くことがなく安全です。
逆に鍼を浅く刺している場合は咳やくしゃみなどで体が激しく動いた際に鍼も同時に動く可能性があり、これによって肩や背中に刺していた鍼の方向が変わって肺に鍼が刺さり気胸が発生する可能性もあります。
鍼を深く刺すから危険で、浅く刺すから安全というわけではありません。
浅く刺す鍼治療であっても事故が起こる可能性はあります。
どこで受けれるの?
深鍼治療を受ける際、一つだけ必ず注意しなければいけない点が、『その鍼灸院が深鍼指導を適切な指導者の下で研修や修行を経て身につけたかどうか?』です。
鍼治療を行うことについては免許が必要ですから、鍼灸院として営業しているということは鍼灸師の免許を持っていることに違いはないかと思いますが、『深鍼治療をできるかどうか?』については特に定められたライセンスなどがないことから、その鍼灸師が先輩鍼灸師や師匠の下で練習したのではなく、本を読んだだけ、DVDを見ただけで我流でやっている場合は、最悪の場合、事故が起こる可能性がありますので、鍼灸師の経歴を適切に見極める必要があります
深鍼治療を安全に受けられる代表的な鍼灸院は北京堂鍼灸院です。
関東地方を中心に全国に分院を持つ深鍼や中国式の鍼治療で有名な鍼灸院です。
痛い鍼で有名でもありますが、他の鍼灸院では効果が見られなかった症状に対して深鍼治療を行っています。
筆者も見学と同時に勉強として治療を受けさせていただいた経験があります。
これまで鍼灸師として腕を磨くために多くの鍼灸院で治療を受けてきましたが、私自身の腰痛に対して最も効果があったのが北京堂創始者の淺野先生の鍼治療です。
北京堂鍼灸院については、筆者が北京堂鍼灸院に訪れた際の出来事を記事にしていますので、是非そちらをご参照ください。
北京堂総本山で北京堂創始者の淺野周先生の鍼治療を受けてきた件。
関西では、筆者も勉強会に参加し、その後弟子入りした神戸の二天堂鍼灸院が深鍼治療で有名です。
神戸市の摂津本山駅が最寄りの老舗鍼灸院です。
手前味噌ではありますが、大阪近辺では、阪急豊中駅からすぐの当院『ほまれ鍼灸院』も安全に深鍼治療が行える鍼灸院です。
二天堂鍼灸院の勉強会に参加し、その後弟子入りした鍼灸師のみが鍼灸治療を行っており、効果の高い深鍼治療を安全に受けていただけます。
当院は二天堂鍼灸院のHPにも二天堂グループとしてリンクを貼っていただいています。
まとめ
以上が深鍼治療についてのまとめです。
整骨院や整形外科、一般的な鍼灸院など、どこに行っても治らなかった症状でお困りの方は是非ズシンと響く深鍼治療を試してみる価値があるかと思います。
特に慢性的な腰痛やぎっくり腰を繰り返している方などに非常におすすめです。